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2003年04月10日(木) 22時35分

「真実」ついに語らず、沈黙の「教祖」を遺族ら批判読売新聞

 オウム真理教の「教祖」は最後まで真実を語らなかった——。東京地裁で10日開かれた麻原彰晃こと松本智津夫被告(48)の第253回公判。松本被告は3度目の被告人質問も無視し、初公判から約7年にわたった審理は事実上、終了した。

 事件の被害者や遺族、家族は、来年2、3月に判決言い渡しのめどが立ったことに安堵(あんど)しながらも、沈黙を続けた松本被告について、「怒りを通り越してむなしさを覚える」と批判した。

 東京地裁で最も広い104号法廷。休廷を挟んだ午後1時15分、公判が再開されると、松本被告は小川正持裁判長の向かいの席に着席した。

 「今日が最後のチャンス。しゃべらないと公判が終わってしまう」

 9人の弁護人が松本被告に発言するよう代わる代わる説得する。しかし、松本被告は背と手を伸ばして数回あくびしたほかは、腕を組んでじっと押し黙ったまま。ある弁護人が「あなたと信頼関係を築けなかったことを反省している」と謝っても、松本被告は言葉を発しなかった。

 小川裁判長も「多くの被害者、弟子たちがあなたの供述を望んでいるが、それでも話しませんか」と問いかけたが、答えは返ってこない。このため、午後4時20分、被告人質問は打ち切られた。この日を含め計3回の被告人質問には計5時間半の時間を要した。

 被告人質問は一般に、被告が自分の主張を裁判所に訴える機会とされている。松本被告は1997年4月の第34回公判で、ほぼ全面無罪を主張。98年1月にも、地下鉄サリン事件で改めて無罪を訴えたが、その理由は説明していない。被告人質問に答えることで無罪主張をさらに強調することも出来たが、松本被告は沈黙を通すことで、その機会を自ら放棄した。

 こうした松本被告の態度について、公判終了後、地下鉄サリン事件で夫を失った高橋シズエさん(56)は、「皆、どうして事件が起きたのか、教祖だった被告の口から聞きたかったが、彼は結局、その責任を果たさなかった」と、あきれた表情で非難。事件摘発前から教団を追及しているジャーナリスト江川紹子さんは、「教祖として君臨していた松本被告は、自分に指示する存在が許せない。沈黙を続けるのは、弁護団のことが気にくわないのだろう」と分析した。

 一方、松本被告の国選弁護団は閉廷後、東京・霞が関の弁護士会館で会見し、渡辺脩弁護団長は「被告本人に質問に答えてもらえない制約は大きかったが、その中で必要かつ可能な立証はすべてやった。事件の規模を考えれば、審理は迅速に進んだと思う」と公判を振り返った。

 東京地検の笠間治雄次席検事も「本日ようやくすべての証拠調べを終えることができた。引き続き適正な判決が得られるよう努めたい」とのコメントを出した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20030410ic27.htm

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