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2003年04月07日(月) 17時50分

危ないレストランはどこ? 厨房の検査記録公開サイトWIRED

 お気に入りのレストランの食材置き場でネズミがわが物顔に走り回っているとしたら、知りたいと思うだろうか? 見習い調理師が、生肉を置いたすぐ下の棚に客に出す直前のサラダを置き、血が生野菜の上にしたたり落ちているとしたら?

 きちんとした食べ物を探す用心深い人や、腹痛に身をよじりたくない人に朗報がある。食中毒を防ぐための強力な武器が登場した。オンラインのレストラン検査情報サイトだ。

 レストランの検査報告は、他の公的記録と同じく、通常誰でも読むことができる。しかし、インターネットによって、こういった衛生管理記録の確認が簡単になった。 http://www.mayorsfoodcourt.com/ ボストンや http://www.nyc.gov/html/doh/html/rii/index.html ニューヨーク、 http://www.dph.sf.ca.us/ehs/ サンフランシスコなど多くの市当局が、現在レストランの検査結果をオンラインで公表している。

 さらに新聞社の中には、すばやく簡単にレストランを選べるようなデータベースを用意しているところもある。

 レストランの衛生検査報告を公表するウェブサイトの多くは、「有害な動物が適切に駆除されていない」、「手洗いが不十分」などの曖昧な報告を載せているだけだが、『トピーカ・キャピタル・ジャーナル』紙のように http://cjonline.com/entertainment/restaurants/inspectionreports/ 充実したサイトを用意した新聞社もある。このようなサイトでは http://cjonline.com/entertainment/restaurants/inspectionreports/reports/bobos.shtml 詳細なレポートが紹介され、危険度の高いレストランを容易に知ることができる。『サクラメント・ビー』紙の http://www.sacbee.com/cgi-bin/sacbee/news/restaurant レストラン衛生検査情報サイトでは、スキャナーで読み取った検査官の手書きコメントを読むことができる。

 ときにはショッキングなレポートのせいで、客足が遠のくこともある。

 カリフォルニア州ベルモント市在住の元会計士、ダイアン・ハリスさんは、初めてのレストランで食事をする際には、「必ず」サンマテオ郡衛生局の http://www.decadeonline.com/main.phtml?agency=smc レストラン検査サイトを利用していると言う。

 ハリスさんにはお気に入りの店の何軒かについて、報告書に気がかりな点を見つけたのでブラックリストに入れてしまった。

 「食事に行くのをやめてしまったレストランが何軒かある」とハリスさん。

 「一度(レストランの違反報告を)読んだら、とてもその店に出かける気にはならない」

 不潔な手で食物を扱うことに始まり、 http://cleanup.food.gov.uk/data/cross-contamination.htm 交差汚染に至るまで、レストランの厨房で起きるずさんな食品管理は、どれも吐き気や嘔吐、下痢、さらには死亡につながりかねない。

 食中毒の脅威はどの程度深刻なのだろうか。米疾病管理センター(CDC)の推計によると、 http://www.cdc.gov/ncidod/dbmd/diseaseinfo/foodborneinfections_g.htm 食品を感染源とする病気にかかる人の数は毎年全米で7600万人にのぼり、死亡者は5000人、入院者の数は32万5000人を数えるという。

 レストランへの立入検査には、定期検査、過去に見つかった問題点の追跡調査、利用者の苦情に基づいて行なう抜き打ち検査がある。こうした検査がなければ、シェフと、ときに訓練の不足した見習い調理師の秘密の世界を垣間見る機会は、利用者にはまず与えられない。

 カリフォルニア州サン・マテオ郡環境衛生局のディーン・ピーターソン局長によると、一般利用者はこの種の内部情報を求めており、ハリスさんのようにこの情報に基づいてレストランを選びたいと考える人は多いという。

 「(ウェブサイトに)アクセスした一般の利用者だけでなく、レストラン側からも実に好意的な反応が返ってきている」とピーターソン局長は話す。最新データとなる2002年の4ヵ月間では、訪問者実数の総数は2万2000人を超え、1日平均では468人がサイトを訪れた。

 サン・マテオ郡環境衛生局では、近い将来さらに多くの情報を一般公開しようと計画している。今年半ばには、郡の12人の食品検査官が携帯の調査ユニット(取り外し式、もしくは回転式のディスプレーを備えたノートパソコンになる模様)を携えて、検査活動に従事しているはずだ。ピーターソン局長は、これによって検査官がより詳細な報告書を郡のサイトに掲載できるようになり、一般的違反をまとめて表現するような画一的用語を一掃してくれるだろうと語っている。

 しかしピーターソン局長の意気込みとは裏腹に、レストラン検査部門にはスキャンダルがつきまとう。

 カリフォルニア州アラメダ郡の環境衛生の監督を専門とし、『外食は安全か』(Is It Safe to Eat Out?)の著者でもあるトマス・ピーコック氏は、こういった検査そのものが「べったりと馴れ合った」体質を生み、不正や汚職、買収の温床になっていると指摘する。検査官たちは自身の「偏見や選り好み」で判断しており、検査組織の上層部に不適格な人物が長年にわたって居座っている場合もあるという。

 ピーコック氏の著書と http://home.earthlink.net/~tfpeacock/ サイトには、定期的なレストランへの立入検査が、いかにおぞましいものであるかが描かれている。

 ピーコック氏によると、多くの調査官が厨房設備の外見的な清潔さしか見ていない。また検査報告書を捏造したり、違反のあったレストランを見逃して「お墨付き」を与えたり、実際に建物の中に入ろうともせず、車に乗ったままで駐車場からのぞき見るだけで検査を済ませる検査官までいるという。

 「検査によってレストランの質を向上させることはできない」とピーコック氏は主張し、こういった検査で違反が見つかるのは、つねに事件が起きた後だと付け加えた。

 ピーコック氏は、こういった状況をあらためるため、検査官の巡回地域を固定せず、レストラン従業員に対する訓練と試験を徹底させることを提唱している。すべての厨房に調理師学校の卒業生がいれば、レストランでの食事は今より安全になるはずだというのが、ピーコック氏の主張だ。

 ピーターソン局長も、食品の安全を確保するには教育が不可欠だという意見に同意している。サン・マテオ郡環境衛生局の検査官は、現場でコンサルタントとしての活動を重視し、レストラン経営者が安全に食品を管理できるようする手助けしているという。

 「多くのレストランは、自分たちは安全で清潔な環境を整えていると心から思い込んでいる」とピーターソン局長。「利用客を食中毒にしようと考えているオーナーは1人もいない」

[日本語版:鎌田真由子/小林理子]日本語版関連記事

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