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2003年04月04日(金) 20時17分

[食べモン塾]安全食品のカルテ ミカンジュース 代価払いに値する味 /京都毎日新聞

◇省農薬、木なりの完熟を使用
 「みかんの味がそのままでうまかね。ばってん、高かさー。これやったら、みかんをたべた方がよか」。無農薬無添加食品の店「ヘルプ」(左京区一乗寺)でいち押しのミカンジュース=写真(下)=を九州の老母に飲ませた時のひと言。半分自慢のつもりで賛辞を期待していたが、その言葉には「ごもっとも」と返す言葉もなかった。
 確かにこのミカンジュースは高い。販売価格が1リットルで800〜900円。4、5年前、「ミカンジュースを初めて作りました」と長崎有機農業研究会(長有研)代表の近藤正明さん=写真(上)=が持ち込んできたとき、担当の私も母と同じような感想を述べた。「もっと安くできるように製造方法を考えたらどうか」「ネーミングとラベルのセンスがない」とまで酷評した記憶がある。
 今考えれば失礼な話だ。今では全国の産直団体やこだわりスーパーから引く手あまた。飲料が売れる夏場の初めには売りきれてしまうほど。長有研は、野菜ではじゃがいも、玉ねぎ、果物ではみかんを主にした有機農業の生産出荷団体。島原半島南部に発足して30年近くなる。ジュースを開発した動機は、丹精込めて省農薬有機栽培で作った温州みかんの小玉、傷ものを自らの力で適正な価格で販売できないかという想(おも)いからだ。
 飲料メーカーに加工用として出荷すれば、二足三文でしか買ってくれない。近年のみかん消費の低迷の中で、豊作時はA級品でさえただ同然の価格になってしまうことが多い。そこで、試行錯誤の中でのジュースの開発が始まった。
 今の果汁飲料の主流は、売価は1リットル200円前後、製造方法は、濃縮還元または、香料と着色料、甘味料でつくった「みかん風味」、原料は輸入オレンジか輸入した濃縮還元ジュース。「まじめで頑固」が代名詞のような長有研は、自慢の省農薬の木なりの完熟みかん30個分を1リットルのジュースに使う。一個一個を手作業で皮をむき、みかんの実そのものを使い、固形分をそのまま残す。自らの思い描く加工を請け負ってくれる工場を探し、わざわざ静岡まで原料を持ちこんでいる。味は推して知るべしである。
 しかし、「原点」は、昔の感覚を持つ老母のひと言に尽きる。みかんとしてすべて生食用として食されるのが一番。りんご農家のリンゴジュースにも同じことが言える。
 コンビニエンスストアに何百種類と並べてある飲料。それが今の一番のドル箱だ。所狭しと並び、次々と発売される飲料。健康補助食品的に作られた飲料。その中に、100円でも払う価値のある中身を持つものがいくつあるだろうか。原価の大部分は今高騰しているペットボトルなどの容器代ではないだろうか。
 現在の「噛(か)まない食生活」の代表である飲料。私達は本当に買う意味があるのか。代価を払うに値するものなのかを、しっかり見極める必要がある。水やお茶が当たり前のように売られているのは二十数年前では信じられないような光景だ。私達には日本の自然が恵んでくれるおいしい水道水、井戸水があったはずだ。それを取り戻すことが私達にとって本当は便利で経済的なことではないか。広告宣伝や利便性に惑わされず、本当に価値あるもの、そして本物の味を備えているものをこれからは選択し、子供達に与えたい。
◇協力・ヘルプ=ホームページはhttp://www.wakkakka.com/(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030404-00000003-mai-l26

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