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2003年03月31日(月) 01時02分

<暮らしどこへ>医療、多様な選択肢を 毎日新聞

 野党だけでなく自民党内にも反対論が残る中、4月からサラリーマン本人の医療費とサラリーマンの家族の入院費の自己負担分が、それぞれ2割から3割にアップする。痛みを伴っても、国民の納得を得られる医療にするにはどうするか。病院を客観的に評価する仕組み作りや情報公開を通じ、患者側の選択の幅が広がるかどうかがポイントの一つとなりそうだ。

 昨年9月から、インターネットのホームページで病院を5段階評価した結果が公開されるようになった。主体は95年、厚生省(現・厚生労働省)、日本医師会、健康保険組合連合会などが出資して創設された財団法人・医療機能評価機構(http://www.report.jcqhc.or.jp)。2月現在で全国9239病院中855病院が認定され、うち公表に同意した約82%の病院の審査結果が掲載されている。

 まだ病院全体の1割にも満たないが、ホームページ上では病院運営、患者の権利・安全、診療の質の確保など6領域で領域ごとに通信簿のように5段階評点が付けられ、同じような他の病院グループの中で、どのような位置づけになるのか「偏差値」も示される。

 今月28日、東京都八王子市の永生病院(安藤高朗院長)で行われた同機構の審査を取材した。

 医師、看護師らによる審査員(サーベイヤー)10人が安藤院長らから合同面接調査を実施。この後、診療、看護、事務管理の領域別に診療カルテ、検査の手順書などを見ながら、患者に対するインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)の実施状況などを聞き取り調査した。

 安藤院長は「第三者の評価を受けることで医師などスタッフの意欲も向上している」と話した。

 課題もある。患者にとって、認定病院のどの診療科で、どんな治療に力を入れているかは参考になるが、評点はほとんど3か4で余り差がつかない。また、手術内容や、その後の経過や実績などは審査項目に入っていない。実際、ホームページのアクセス数は1日平均500件あるが、患者からより、競合状態の病院の審査結果を探るためのものが目立つという。

◆民間企業が「番付」も

 経済財政諮問会議は昨年末、医療・健康分野のサービス産業活性化策として、民間企業が医療機関をランキングする「医療番付」、患者に適した医療機関を紹介する「医療仲人」などの導入を提言した。

 医療機関のランキング雑誌や「行ってはいけない病院」などを発行しているセルフケア・ニュース社(宇野康彦社長)は都内約9000のクリニック、診療所の所在地や医師の経歴、得意とする疾患、それを裏付けるデータ、紹介できる病院などを調査し、調査が完了した地域から、提携の生保会社などを通じてインターネット上に公開する予定。医師が特定の患者に必要と認めた海外からの医薬品輸入を代行したり、患者の海外での診療手配なども計画しているという。

 宇野社長は「患者の大病院志向が強いが、勤務医を経て開業した専門医も多い。しかし患者にうまくアピールすることができず、患者も症状に適した医療機関を選ぶ手段がない。そうしたミスマッチを解消したい」と話す。 【渋川智明】

◆見えぬ医師の価値観

 「医療費が上がっても医療に満足が得られないのはなぜか」

 医療情報の公開・開示を求める市民の会の勝村久司事務局長は先月、東京都内で開かれたシンポジウムで、こう問いかけた。医療の分野は、医師が圧倒的に優位に立ち、お金を払う側の患者が診療の中身を知ることは少ない。治療の内容と医療費は適正なのか……。

 勝村氏は、満足を得られない理由を「どんな価値観で医療が行われているのか分からないからだ」と指摘。突き崩す切り札が診療報酬明細書(レセプト)の開示だと強調した。

 レセプトは医療機関が保険者に診療報酬の支払いを求めるための書類。患者が受けた医療と費用の明細が記される。97年に患者本人と遺族への開示が認められるようになり、医療費の水増し請求など、見逃されてきた不正が次々に表面化した。

 大阪市に住む50代の女性は数年前、こんな経験をしたという。

 所属する国民健康保険組合から送られてきた医療費通知を見ると、介護施設に入居する母親が、いつの間にか歯科医の診療を受けた(自己負担はなし)ことになっている。不審に思い、組合に施設入居月からのレセプト開示を求めると、月10万円、5万円……と、2年間、歯科医が診療報酬を架空請求していることが分かった。女性は組合や歯科医師会に不正を訴え、行政監査にまで至った。

 ただ、年間約12億枚のレセプトが作られる中、開示請求の数はわずか1万2500件(01年度)と、まだ少数だ。手続きにも手間がかかることなどが理由とみられる。

 勝村氏は今後、(1)保険者がレセプト開示前に医師に問い合わせをする仕組みをやめる(2)インターネットを使った開示(3)病院の窓口での直接開示——に取り組むという。 【三岡昭博】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030331-00000091-mai-bus_all

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