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2003年03月26日(水) 00時00分

広がるネット反戦の輪  無力じゃない! 東京新聞

 イラク戦争開始から1週間。「何をしたらいいのか分からないけれど、何かせずにはいられない」−。そんな、声なき声をすくう“網”として、インターネットが大活躍している。個人が机の上から自由に意見を発信できるネット。速報性と双方向性を併せ持つその機能を活用した、かつてない反戦運動の形だ。画面は呼びかける。「まだ止められるかもしれない。声を上げよう!」

 「今わたしができることすべてしたい! 後悔したくない! たくさんの人が悲しむ前に!」

 反戦署名サイト「Please stop war!! 戦争をやめてほしい市民の署名活動」には、イラク攻撃が始まってからの五日間で延べ五千人がアクセス。平和を希求するメッセージとともに、三千二百を超す署名が集まった。

 主宰者は、静岡県沼津市で病気療養中の松田祥世さん(35)。米中枢同時テロで多くの民間人が殺された時、「自分が戦場に引っ張り出された気がした」と言う。弔意を示したくても、報復行動をやめてほしくても、地方在住で、体調も悪いからデモにも参加できない。NGOや反戦団体とも縁がない。孤独感に襲われたが、「ならば表現の場を自分で」と、このサイトを作った。

 “署名”は、名前とメールアドレスとメッセージを記入してクリックするだけ。パソコンさえあればどこからでも参加できる。「反響の大きさに私も驚いています。これだけの人の力があれば、本当に戦争を止められる気がする」と松田さん。署名は、メールで各国首脳に届ける。

 意見投票サイト「〜あなたの意見を聞かせてください〜イラク攻撃YES? or NO? 全国意見投票!!」にも、全国から意見が集まっている。

 呼び掛け人は、金沢市に住む主婦。イラク攻撃開始が色濃くなってきた二月、地元の商店、老人ホーム、喫茶店、幼稚園など、身近な場所で「賛成か反対か」だけを聞いた。その活動がインターネットを介して全国に波及。「一人ひとりに考えてもらう機会に」との狙い通り、サイトでは三千人の老若男女が「NO」の意思表明とともにびっしりとメッセージを書き込んでいる。「私たちは、微力だけど無力じゃない」と、この主婦は話す。

 一人が発したメッセージが誰かの目に留まり、感動して別の誰かに転送し、それがまた転送され…。世界中の人の目に触れるのが可能なのも、インターネットならでは。宇都宮大学一年の谷澤壮一郎さん(19)が書いたイラク紀行文「タニザワソウイチロウ ノ ホームページ」は、その手法で広まった。

 谷澤さんは市民団体が主催した調査団の一人として、二月十七日から三月三日までイラクを訪問。「身体で感じたイラクを伝えたい」と、イラク庶民への思いをネット上で吐露している。ネットの冒頭で「誰にでも、このページのこと紹介してください。お願いします。全編にわたり転載転送完全自由です」と強調。洪水のような戦争報道の中で、谷澤さんは、ホームページ開設から十日で、全国ネットのテレビで取り上げられ、街頭デモでも壇上で演説するほどの有名人になった。

 不特定多数の人々に瞬時に同じ情報を届けるという点でも、優れた効果を発揮する。

 NGOなど四十七団体が呼び掛けて三月八、二十一の両日、都内で行われた反戦デモ行進「ワールド・ピース・ナウ」。大半は個人参加者だったが、それも気軽に一人でアクセスできるインターネットがあればこそ。

 ただ一方で、“サイバーテロ”まがいのケースも出ている。

 ある雑誌の創刊企画として行われた「サイバーデモ」。「デモの場所」のアドレスをクリックすると首相官邸ホームページに飛ぶ設定になっており、特定の時刻に集中的にアクセスすることで、官邸側の機能がまひする事態もあり得た。別のケースでは、「国連が署名を集めている」という旨の事実でないチェーンメールも出回った。

 平和を求める活動は、あくまで平和に。鍵(キー)は剣よりも強いはず、と信じて−。

 文・井上圭子/紙面構成・長谷川美穂

   【文中で紹介した反戦ホームページのアドレス】

●Please stop war!!→http://www.eeeweb.com/~signature/

●イラク攻撃YES?orNO? 全国意見投票!!→http://www.ribbon-project.jp/iraq-vote/vote-index.htm

●タニザワソウイチロウ ノ ホームページ→http://members.tripod.co.jp/pulausoichiro/top.html

●ワールド・ピース・ナウ→http://give-peace-a-chance.jp/118/


http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20030326/mng_____thatu___000.shtml

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