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2003年03月17日(月) 15時09分

他人の戸籍改ざん、架空養子75人の名義で借金1億円朝日新聞

 他人の戸籍を改ざんして作り上げた架空の「養子」名義で借金を繰り返し、あげくの果てには離縁して踏み倒す——。戸籍法のすき間をつき、養子縁組制度を悪用した詐欺事件が、全国で後を絶たない。埼玉県警では、戸籍上にしか存在しない「養子」を「クローン」と呼び、捜査中だ。これまでの調べでは、クローンは75人、被害総額は1億円以上にのぼる。

 県警によると、その手口はこうだ。

 まず、多重債務者リストや夜逃げした人の自宅に残された証明書を手がかりに探し出した人物を別の人物と勝手に養子縁組させる。

 こうして生まれた「養子」=「クローン」の戸籍謄本を使って、健康保険証など偽の身分証明書を作り、銀行口座を開いて消費者金融などで融資を申し入れる。口座に入金があった後、今度は離縁して養親の戸籍から消す。

 養子縁組は、本籍地がわかれば戸籍謄本は第三者でも取れ、謄本が複数あれば、自由自在にできる。元の戸籍が多重債務者のものでも、誰かの養子にしてしまえば姓も本籍地も変わり、新たな借金ができるというわけだ。

 同じように別の養親を探し、再び養子縁組をする。そんな手続きを繰り返せば、クローンがクローンの養子になるなど、クローンはどんどん増えていく仕組みだ。

 だまされたと気づいた本人や金融業者が、クローンの「出生」をたどるのは厄介だ。多くの場合は1人のクローンの借金額は100万円前後とあって、ある金融関係者は「戸籍をたどるのは面倒で、ほとんどは欠損処理している」と話す。

 こうした「クローン」詐欺事件が発覚したきっかけは、昨年11月に埼玉県警捜査4課と狭山署が競売入札妨害容疑で逮捕した無職石川健治被告(30)=詐欺罪で追起訴=だ。

 石川被告は、家屋解体業を営んでいた際に資金繰りに窮し、信用情報機関のブラックリストに掲載された。そのままでは新たな融資を受けられず、知人から架空の養子縁組による詐欺の手法を学んだとされる。

 これまでの県警の調べでは、石川被告が00〜02年に少なくとも40人の戸籍を改ざんして、75人のクローンを作り出し、1億円以上をだまし取ったとみている。うその養子縁組の届け出先は東京、埼玉、神奈川、千葉、群馬の各都県25市区町に及び、印鑑526本、偽名の通帳180通、偽造保険証65枚などが押収された。

     ◇      

<養子縁組の届け出> 現在の戸籍法では、結婚や離婚、養子縁組などの届け出は本人以外の第三者がしてもよく、形式的な不備がなければ受理される。本籍地以外で申請する場合は戸籍謄本が必要だ。戸籍謄本については、第三者が取得する際に委任状の提出を求める自治体もあるが、本人だと偽られたり、委任状を偽造されたりすると確認は難しい。(03/17 15:07)

http://www.asahi.com/national/update/0317/014.html

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