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2003年03月04日(火) 03時05分

「対策十分」マンションで入居者がシックハウス症候群に朝日新聞

 マンション分譲会社最大手の「大京」(東京都渋谷区)が00年11月に完成させた大阪市内のマンションで、シックハウス症候群の原因物質「ホルムアルデヒド」が厚生労働省の指針値の最高で4倍以上の濃度で検出され、一部の入居者が同症候群と診断されていることが、3日わかった。大京は「シックハウス対策は十分」と説明して販売。健康被害を訴える入居者に一時、買い戻しを申し出ていたが、朝日新聞の取材には「因果関係ははっきり分からない」としている。

 問題のマンションは、大京が99年末から販売した大阪市北区の「ライオンズマンション」(95戸)。

 入居者らによると、01年の入居直後から約半年の間に、少なくとも10世帯十数人が発疹や頭痛、呼吸器の異常などを訴えた。重い症状が続いて会社を退職したうえ、マンションを所有したまま、医師の勧めで転居せざるをえなくなった男性もいる。

 これまでに6人の入居者が、同症候群かどうかが厳密に判定できる北里研究所病院(東京都港区)で診察を受けたところ、全員が同症候群と診断されている。

 入居者の依頼を受けた保健所が01年11月からマンションの一室でホルムアルデヒドを計3回測定した結果、高い時には0.16ppmと、いずれの時も厚生労働省の安全指針値(0.08ppm)を超える数値が出た。

 また大京が昨年7月に研究機関に委託した調査でも、指針値を超える量が検出された世帯が約7割に上り、最高で指針値の4倍以上、平均で約1.9倍の数値を示した。

 このマンションを販売した大京の元社員や入居者らによると購入前、大京の営業マンは「建材はホルムアルデヒドの最も少ないものを使用」「(指針値の)0.08ppmをクリアすることはもちろん、限りなくゼロに近づける」とシックハウス対策を強調したパンフレットを渡したり、「対策は十分」と説明したりして購入を勧めていたという。

 このマンションには実際には、ホルムアルデヒドが比較的多く放出される恐れがある性能の低い建材が多用されていた。

 この建材について大京は「01年以降は使用していない」とし、それ以前の使用量や使用したマンション名は明らかにしていない。

 入居者からの苦情を受けた大阪府が昨年5月、大京の担当者から事情を聴き、パンフレットの表現が誤解を招きかねないと指摘。大京はパンフレットの使用をやめた。

 また、いち早く健康被害を訴えた2世帯に対し、奥田一副社長が昨年4月、マンションを訪れて直接謝罪し、2戸の買い戻しと移転費用などの補償を申し出た。1世帯とは交渉が決裂したが、残る1世帯と交渉が続いている。ほかにも十数世帯がリフォームなどの補償交渉を検討している。

 00年に全国で9000戸以上を販売した大京は、このマンションの入居者に対し「より安全な建材が、この時期には供給不足で入手できなかった」と説明している。(03/04 03:03)

http://www.asahi.com/national/update/0304/006.html

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