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2003年03月03日(月) 07時11分

「財形ぐらい取れ」 大規模簡保不正、背景にノルマ重圧朝日新聞

 簡易保険で発覚した不正契約は、財形商品の3件に1件が該当する大規模なものだった。ベテランの郵便局員は、「保険が取れないんだったら財形ぐらい取って来いと、上司からはっぱをかけられた」と話す。財形商品は満期までの期間が他の保険商品より短く、契約が取りやすいからだ。契約内容はほとんどチェックされず、ノルマ達成が優先されていたという。

 「契約を毎日1件ずつ取らなければノルマは達成できない。3日続けて取れないと上司からうるさく言われ、研修を受ける。それが嫌だから財形を取った」。簡保の営業歴が20年以上で、関東郵政局管内の40代後半のベテラン営業職員は明かす。不正契約が多数見つかった99年ごろの上司は、ノルマに特に厳しかったという。

 財形の売り文句は「積立貯金と同じ。利子は非課税」。満期まで最短5年で、他の保険商品の半分。お金を長く寝かせるのを嫌う客のニーズにもあっていた。

 親しい職員は、美容院経営者の家族をねらったという。美容院は日銭が入るので契約を取り付けやすいからだ。ただ、美容院で働いていない子どもの名前で契約していたケースが多く、今回の内部調査で無効にされたという。

 「今にして思えば、商品に関する知識不足に加え、ノルマに追い立てられてずさんな契約に走ってしまった」と、ベテラン職員は振り返る。

 この結果、近年、長引く不景気などで簡易保険全体の新規契約数が伸び悩む中、財形商品は順調に増えていった。97年度は3万2千件だったのが、翌98年度は4万7千件、99年度は前年度の2・3倍の10万7千件に急増した。

 また、不正契約が見逃されていた背景には、チェック態勢の甘さがあったと見られている。

 西日本の郵政局管内で10年以上簡保営業に携わる郵便局員は「以前は、契約者の資格をチェックされることはなかった。3年前から上司がチェックすることになったが、実際はフリーパス。管理職は成績さえ上がればいいと黙認している。最近、郵政公社化に向けて、やたらと厳しくなったけれど」と話す。

 郵政事業庁は「毎年、営業目標を設定して郵便局単位で達成するように指導しているが、職員個人に目標を課すことはない」と、ノルマと不正契約の因果関係はないと主張する。

(03/03 07:10)

http://www.asahi.com/national/update/0303/004.html

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