悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録

2003年02月26日(水) 03時21分

<イレッサ>副作用「がんのせい」販売元が説明文記載に抵抗毎日新聞

 抗がん剤「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)の臨床試験で患者に発生した重い間質性肺炎について、販売元のアストラゼネカ社(本社・大阪市)が、厚生労働省の承認審査で「がんの進行が原因」と主張し、医師向けの説明文書(添付文書)に副作用として載せることに最後まで反対していたことが分かった。実際には、ア社は臨床試験の段階で文書で副作用の可能性を認めていた。ア社はこの患者の重症度も実際より軽く報告しており、同省は薬事法違反(虚偽報告)の疑いで調査する。

 患者は60歳代男性で、00年12月6日から首都圏の病院でイレッサの投与を受けた。22日に呼吸困難など間質性肺炎の症状が出て、投与を中止。人工呼吸器や薬剤治療の結果、間質性肺炎は改善に向かったが、01年1月29日にがんが悪化して死亡した。

 担当医はア社に、「投与時期と発生時期の関係から、イレッサが原因である可能性が高い」と報告。これを受け、ア社は01年2月20日付で臨床試験に参加していた施設に注意を呼びかける文書を配り、「間質性肺炎はイレッサ投与後に発症し、中止後に治療で改善したことからイレッサとの関連性が疑わしい」と副作用の可能性を認めた。

 ところが、02年の承認審査では、間質性肺炎を起こした他の2人を含め、「報告された間質性肺炎はがんの進行に伴うもので、イレッサが間質性肺炎を誘導する可能性は低いと考える」と主張した。これについて担当医に相談はなかったという。

 また、死亡した患者の担当医は、副作用の重症度について、4段階のうち最も重症で、致死的であることを示す「グレード4」と報告したが、ア社は、審査を行った国の医薬品医療機器審査センターに1段階軽い「グレード3」と報告した。

 ア社は結局、「副作用の可能性がある」とのセンターの指示で添付文書に間質性肺炎を記載したものの、死亡の危険性は明示しなかった。

 審査センターは「ア社は間質性肺炎を副作用と認めず、添付文書に載せるのは嫌だと主張した。ア社も副作用と考えて調べていたなら、もう一段高く書いたかもしれない」と説明する。

 担当医は「がんによる間質性肺炎なら通常は改善しない。ア社から相談されれば反対した」と話す。

 ア社は「因果関係がはっきりしていないことなどから、間質性肺炎を添付文書に記載する必要性は少ないと考えていた。重症度についてはグレード4とすべきだったが、担当者が注意不足だった」と話している。 【鯨岡秀紀、高木昭午】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030226-00000167-mai-soci

この記事に対するコメント/追加情報を見る

ニュース記事一覧に戻る

トップページ