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2003年02月25日(火) 03時02分

イレッサ、副作用で虚偽報告か読売新聞

 昨年7月の承認後、180人以上の死亡が報告されている抗がん剤「ゲフィチニブ」(商品名イレッサ)の副作用問題で、臨床試験中の2000年12月、首都圏の公立病院の医師が副作用とみられる間質性肺炎を確認し、症状の重篤度を死亡の恐れがある「グレード4」として輸入販売元のアストラゼネカ日本法人(本社・大阪市)へ伝えたのに、同社は生命の危険のない「3」に重篤度を下げて国に報告していたことが24日わかった。

 しかも報告は法定期限を1か月以上過ぎていた。厚生労働省は薬事法に基づく「臨床試験の実施基準」(GCP)に違反する虚偽報告をした可能性があるとみて調査に乗り出す。

 間質性肺炎を起こしたのは60歳代の男性。2000年12月6日から臨床試験に参加する前は肺炎などの兆候はなかったが、服用16日目に息苦しさを訴えた。画像診断で間質性肺炎が見つかり、人工呼吸器をつけるまで悪化。症状はステロイド剤の投与などで改善したものの、翌1月に肺がんの進行で死亡した。

 担当医師は12月25日、アストラゼネカに緊急報告。2月5日に「イレッサによる間質性肺炎の疑いがある」と文書で最終報告するまで計4回、一貫して「グレード4」と伝えたという。

 薬事法施行規則は、臨床試験中に予測外の有害事象が発生したことを製薬会社が知った場合、死亡または死亡の恐れのある症例は7日、それ以外の重篤な症例は15日以内に国へ報告するよう義務づけている。

 ところが同社が国の審査センターへ報告したのは2月9日。しかもグレードは「3」とし、「因果関係は否定できないが、他の薬も併用しており、原因薬剤の特定は困難」という企業意見をつけていた。

 副作用の重篤度判定は一般に米国立がんセンターの「共通毒性基準(CTC)」が用いられ、「4」が最も重い。重篤度のランクは医師が判定し、メーカーはそのまま国に報告することになっている。

 担当医師は「3と4の差はかなりのもの。なぜ自分の報告と違うのか不可解だ」と話している。

 アストラゼネカ日本法人は「最初は呼吸困難と聞き、2月5日に『イレッサに関連する可能性のある間質性肺炎』と医師から報告されたので、その時点で国へ伝えた。重篤度(を変えたかどうか)については担当者と連絡が取れず、答えられない」としている。

 厚労省医薬局審査管理課は「医師の記録とメーカーの提出書類で記述が異なる場合は、臨床試験の記録を正確に行わなかったことでGCP違反。事実関係を調査したい」としている。

(2月25日03:02)

http://www.yomiuri.co.jp/04/20030225it01.htm

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