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2003年02月25日(火) 21時51分

<雪印食中毒事件>元工場長らに禁固2年〜1年6月求刑毎日新聞

 約1万5000人の被害者を出した雪印乳業(本社・札幌市)の乳製品による食中毒事件で、業務上過失致死傷罪などに問われた久保田修・同社元大樹工場長(53)ら2被告に対する論告求刑公判が25日、大阪地裁(氷室真裁判長)であった。検察側は久保田被告に禁固2年、罰金12万円、泉幸一・元同工場製造課主任(51)に禁固1年6月を求刑。「一連の食品への不安増大の発端となった事件で、社会的影響は大きい」と述べた。組織的な責任には触れなかった。

 2被告は黄色ブドウ球菌毒素に汚染された脱脂粉乳を出荷し、大阪工場で製造された低脂肪乳で200人を発症させ、うち奈良県大和高田市の女性(当時84歳)を死亡させたとして起訴された。久保田被告は、日報などの記録を改ざんして保健所に提出した食品衛生法違反罪にも問われた。

 検察側は論告で、久保田被告について「異常な数の細菌に気付きながら脱脂粉乳を廃棄する義務を怠り、安易に出荷した責任は重い。消費者の安全より、会社の利益や自己の保身を優先させた」と指弾。泉被告にも「異常を最も身近で知りうる立場で、注意義務違反は著しい」と述べた。

 両被告は低脂肪乳の飲用と女性の死亡の因果関係についてのみ争っているが、検察側は「女性は食中毒による脱水症状が原因で高カリウム血症になり死亡したことは明らか」とした。

 両被告と一緒に起訴された同工場の元製造課長は昨年1月、北海道で交通事故死し、公訴が棄却されている。

 この事件では、同社の石川哲郎元社長と相馬弘元専務も業務上過失致死傷容疑などで書類送検されたが、大阪地検は不起訴処分とした。その後、大阪第1検察審査会が不起訴不当の議決をし、大阪地検が再捜査している。 【山本直】

 ◇検察側論告求刑のポイント◇

 【事実関係】女性の死因は高カリウム血症に基づく不整脈だが、最大の原因は雪印低脂肪乳引用で排尿が困難となったこと。従って、両被告の過失と女性の死亡との間には因果関係がある。

 【情状】ブランドに対する信用は大きかったのに、国民の信頼を裏切った。事件で「安心して牛乳を飲めない」という社会的不安が広がった。

 久保田被告は、行政処分を回避するため日報の改ざんを指示し、工場内から不満の声があがっても撤回しなかった。消費者のことより工場の利益や自己保身を優先させており、刑事責任は重大。

 泉被告は現場での品質保持状況を最も身近に知る立場にあったのに、停電からの復帰後、温度を管理する注意義務を怠っており、責任は重大。

 【求刑】被害者の大半と示談が成立している。しかし、事件の社会的影響は極めて大きい。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030226-00000028-mai-soci

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