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2003年02月21日(金) 03時01分

副作用報告、英社が拒絶…抗がん剤イレッサ読売新聞

 昨年7月の承認後、間質性肺炎などで183人の死亡が報告されている抗がん剤「ゲフィチニブ」(商品名イレッサ)の副作用問題で、イレッサ投与が間質性肺炎を悪化させる可能性を示す動物実験の結果を学会報告する予定だった東京女子医大の永井厚志教授らが、メーカーの「アストラゼネカ」(本社・英国)の拒絶にあい、発表を断念していたことが20日わかった。

 承認申請の準備中だった2001年秋のことで、この時点でイレッサが肺障害を起こし得ることを警告していれば、副作用がこれほど拡大することはなかったと見られ、メーカーの姿勢が問われることになりそうだ。

 永井教授らは、細胞表面の特殊なたんぱく質の働きを妨げると、肺組織の成長が抑えられることを発見。このたんぱく質に作用してがん細胞の増殖を止めるとされるイレッサでも障害が発生する可能性があると考え、2001年3月から実験を開始。別の抗がん剤で肺に間質性肺炎の症状を作ったマウスにイレッサを投与すると、投与しない場合より症状が悪化した。

 永井教授は同年10月、翌年5月に開かれる米国胸部学会で発表しようと、要旨(抄録)を送って登録、実験結果をアストラゼネカに報告した。薬剤提供の際の契約に「実験結果は承諾なしに第三者へ提供しない」という条項があったため、了解を求めたものだった。

 しかし同社の日本法人からは、「残念ながら抄録の取り消しをお願いいたしました」との連絡が電子メールで届いた。別のメールでは「公表を承認するには、さらにデータを提出していただき、詳細にわたる再審査の必要があるとの結論に達しました」としていた。

 この結果発表は、昨年11月の日本肺癌学会まで遅れた。永井教授は「公表は待ってくれという意味だと思った。契約上仕方がなかったが、このようなことは過去に経験がない」と話している。

 アストラゼネカ日本法人は「永井教授から学会の抄録提出締め切り直前に発表したいと連絡があり、データの提示を求めた。すると永井教授から『データは出せないので取り下げる』と返事があった。取り下げてほしいとは言っていない」と話している。

(2月21日03:01)

http://www.yomiuri.co.jp/top/20030221it01.htm

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