悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録

2003年02月15日(土) 03時01分

医療事故報告:義務でなく「任意」に 医療機関側の反発で毎日新聞


 医療事故の再発防止策として厚生労働省が導入を検討している医療機関からの事故報告制度が、義務ではなく任意報告にとどまる可能性が強まっている。医療機関側が「報告すれば刑事処分されかねない」と反発しているためだ。同省は事故一歩手前の事例について、すでに任意での報告を求めているが、対象の医療機関の3分の1しか報告していない。患者側は「報告を義務化しないと制度が骨抜きになる」と訴えている。

 厚労省は東京女子医大病院での心臓手術ミス・隠ぺいなど、医療事故の多発を受けて昨年7月、事故報告制度の検討部会(部会長・堺秀人東海大病院副院長)を発足させた。第三者機関が医療機関から全国的に事例を集め、分析して再発防止に役立てるのが目的で、来月に報告書をまとめる。

 検討部会はこれまで7回開かれた。その議論を整理して公表した文書によると、事故報告を義務化すべきだとの意見は記載されていない。義務化については、報告した事例が刑事処分の対象になるのを恐れる医療機関側の意見を反映して「医療現場が委縮し、事例の適切な収集が期待できないことになるのではないか」と批判的な見解を示している。

 事務局の厚労省医療安全推進室は「報告を義務化すべきだとの意見は検討部会では出ていない」と説明するが、部会の委員の一人は「報告の義務化を主張した委員はいたのに」と文書に疑問を投げかけている。

 厚労省は事故一歩手前の「ヒヤリ・ハット」事例について、大学付属病院や国立病院・療養所の計約260施設を対象に00年10月から任意報告を求め、3カ月ごとに集計している。しかし、過去5回の集計で、報告した施設の割合は平均で約35%にすぎなかった。

 医療問題弁護団代表の鈴木利広弁護士は「病院の社会的責任の大きさを考えれば、事故報告の義務化は当然だ。当事者に不利益な報告をさせる制度は、食中毒が起きた際の食品衛生法の規定など、ほかにもたくさんある。任意にすればヒヤリ・ハット事例よりさらに報告は少なくなり、再発防止には役に立たないだろう」と話している。【医療問題取材班】

[毎日新聞2月15日] ( 2003-02-15-03:01 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030215k0000m040178000c.html

この記事に対するコメント/追加情報を見る

ニュース記事一覧に戻る

トップページ