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2003年02月06日(木) 03時20分

<都立豊島病院>呼吸機器接続ミス、過去に類似事故5件 毎日新聞

 東京都立豊島病院(東京都板橋区)で00年と01年、医療機器の接続不具合のため人工呼吸を受けた乳児2人が死亡した事故で、以前に類似の事故が5件起き、1人が死亡していたことが分かった。厚生省(当時)は2件の報告を受けていたが、厚生労働省が機器のリストを公表したのは豊島病院の事故後だった。業務上過失致死容疑で捜査している警視庁捜査1課は、同省の対応と豊島病院の事故との関係を調べるため、当時の担当者から事情を聴いている。【草野和彦、川辺康広、長谷川豊】

 豊島病院の2事故は「タイコヘルスケアジャパン」(東京都世田谷区)の気管切開チューブと、「アコマ医科工業」(文京区)の小児用麻酔回路「ジャクソンリース回路」の組み合わせ。切開した患者ののどに気管切開チューブが差し込まれ、酸素吸入器とつながったジ回路を接続する。正常ならばジ回路内で酸素と呼気が行き交う仕組みになっている。

 しかし、タ社のチューブは内径が小さい一方、ア社のジ回路は酸素を送る管が長いため、両社の機器を接続すると管がチューブの穴の内側にすっぽりとはまってしまう。このため、患者の呼気の逃げ場がなくなり、呼気を排出することができなくなった患者は呼吸困難になる。

 最初の事故は97年5月、千葉県内の総合病院で3歳児が呼吸困難になった。同月中に愛媛大医学部付属病院で2件の事故が相次いだ。98年6月に栃木県内で発生。99年7月には神戸大医学部付属病院で乳児が死亡した。

 5件はすべてジ回路を使用しており、うち4件はア社製。残る1件は他社製だが、ア社製と同様に管が長かった。ジ回路と接続していたのは、いずれもタ社製の製品で、内径が小さかった。

 薬事法は業者側に医療機器の不具合による事故の報告を義務付けており、愛媛大のケースで両社は報告を怠ったが、その前後の千葉と栃木の事故では、タ社が厚生省に報告していた。しかし、同省は使用上の注意書きを納入先の医療機関に配布するようタ社に指導しただけで、自らは医療機関に情報提供しなかった。

 タ社は指導を受け、千葉と栃木で使われた内径の小さいアダプターの使用上の注意を書いた文書を納入先に配布したが、同様に内径が小さい気管切開チューブについてはそのままにしていた。

 千葉の病院の関係者は「豊島病院の事故を知った時、なぜうちのケースが教訓にされなかったのかと驚いた。厚生省が積極的に動いていれば、その後の事故は防げたのではないか」と語る。

 厚労省の黒川達夫・安全対策課長は「2件の事故は死亡事例ではなく、報告を上げた会社への指導で十分と考えた。医療機関への情報提供は法律上の義務はなく、当時としては適切な対応だった」と話している。

    【接続不具合による事故の一覧】

   時期    医療機関 患者年齢 結果     器具組み合わせ

(1)97年5月 千葉県内 3歳   肺損傷    他社ジ回路とタ社アダプター

(2)   5月 愛媛大  10カ月 呼吸困難   ア社ジ回路とタ社人工鼻

(3)   5月 愛媛大  2カ月  呼吸困難   ア社ジ回路とタ社人工鼻

(4)98年6月 栃木県内 新生児  肺損傷    ア社ジ回路とタ社アダプター

(5)99年6月 神戸大  6カ月 1カ月後死亡  ア社ジ回路とタ社チューブ

(6)00年8月 豊島病院 8カ月 2カ月後死亡  ア社ジ回路とタ社チューブ

(7)01年3月 豊島病院 3カ月 11日後死亡  ア社ジ回路とタ社チューブ

※(1)〜(4)の患者は回復(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030206-00000150-mai-soci

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