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2003年01月29日(水) 23時51分

<オウム裁判>死刑求刑の瞬間 中川被告、何度もまばたき毎日新聞

 「私の事件で25人もの方が亡くなった。償いにはならないが、厳しい刑を下してほしい」。そう話していた元オウム真理教幹部、中川智正被告(40)に29日、死刑が求刑された。約5時間にわたった東京地裁の論告求刑公判。「一片の人間性もない無法者による極悪・卑劣な事件」。空席が目立つ法廷には、検察官の厳しい言葉が響いた。

 午後4時36分、104号法廷。目を閉じて論告を聴いていた中川被告は死刑求刑の瞬間、顔を上げて何度もまばたきした。そして、小さく数回うなずいた。

 松本智津夫(麻原彰晃)被告の主治医で、側近といわれた中川被告。出家のわずか2カ月後に坂本堤弁護士一家殺害に加わり、その後も教団の主な事件にかかわり続けた。検察官は論告で「犯罪史上類を見ない凶悪な殺人者」「出家後の歩みは、教団の違法行為の歴史といっても過言ではない」と厳しい言葉を浴びせた。

 論告が弁護士一家殺害の場面にさしかかり、検察官が「『子供だけはお願い』との哀願を無視し、わずか1歳の子供を無残にも殺害した行為は鬼畜にも劣る」と述べると、中川被告は柔道で鍛えた大きな体を丸めてうなだれた。

 今月15日、最後の被告人質問では「人の命を救う医師がこんなことをしてはいけない」「人間としていびつな存在だった」「私の人生は失敗ですよ」と、涙ながらに後悔の言葉も繰り返した。しかし、岡田雄一裁判長が「弁護士一家殺害で大きな衝撃を受けたのに、その後、何人もの殺害に関与したのはなぜか」と尋ねたのに対して、「できるだけ考えないようにしていた。お恥ずかしいが、葛藤(かっとう)はなかった」と答えた。

 猛毒のVXで襲撃された「オウム真理教家族の会(旧・被害者の会)」の永岡弘行会長(64)は「死刑求刑は仕方がない。あれだけ罪を並べられては彼自身、覚悟を決めていたように見えた」と話した。 【森本英彦】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030130-00000045-mai-soci

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