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2003年01月12日(日) 03時20分

<内部告発>メディアへの告発除外 保護法制化で浮上 内閣府毎日新聞

 企業不祥事の内部告発者を保護する法制化作業で、内閣府の検討機関がメディアなど外部への告発を保護対象から除外する方向で議論していることが分かった。告発先を主務大臣に限定するなど、他の先進国の法律に比べ、保護対象が狭まる恐れがある。企業秘密の漏えいを、企業の判断で刑事罰の対象とできる法律見直し作業も進んでおり、消費者問題に詳しい弁護士らは「一連の動きは情報を封じ込めようとするもので、告発行為を委縮させる」と指摘している。 

 告発者保護の法制化は内閣府の「国民生活審議会消費者政策部会」で検討している。事務局は昨年12月24日の部会に、法律の骨格となる「21世紀型の消費者政策の在り方について」とする中間報告案を提示した。この中で告発先については、企業に是正措置を命じる権限を持つ主務大臣等(業界を監督する省庁)にすることが適当とし、こうした官への告発に限って保護対象とした。

 ところが、一部委員から「メディアへの告発を認めないのか」と反論が起き、同26日公表の中間報告は、「主務大臣」部分の掲載を見合わせた。今月から始まる検討委員会で改めて議論する。

 内閣府の永谷安賢・国民生活局長は、審議会で「マスコミに告発者の保護や企業経営の是正など何らかの義務を課すことはできない」との見解を示している。

 一方、企業の営業秘密、知的財産の保護について検討する経済産業省の産業構造審議会小委員会は昨年12月20日「不正競争防止法の見直しの方向性について」と題する報告書をまとめた。この中で、企業秘密の不正取得や不正開示などは「懲役3年以下、罰金300万円以下」を科すとした。「不正」の判断は企業にゆだねる「親告罪」としている。

 同省知的財産政策室は「自らの利益を目的に企業情報を公にすれば刑事罰の対象となり得るだろう。しかし社会正義の訴えを規制するものではない」と説明する。同省は報告書を受けた法案を提出する予定だ。

 内閣府の資料によると、米国の保護法制では公的機関の不正を連邦職員が告発する場合は、メディアを含め告発先に制限はない。企業の不祥事も、監督機関だけでなく捜査当局などへの告発も保護される。英国も「身体に危険が迫っている場合」などの要件を満たせば、メディアへの告発が保護対象となる。豪州でも一部の州で報道機関への通報を保護している。

 市民団体「公益通報支援センター」共同代表の一人、辻公雄弁護士は「告発先を監督官庁に限定すれば、官業の密接な関係の中で、公になる前にもみ消される懸念が強い。刑事罰の適用も企業側に都合よく判断されかねない。不正と判断できる合理的な根拠があれば、告発は外部に向けて自由にすべきものだ」と話している。 【宮澤勲】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030112-00000105-mai-pol

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