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2002年12月30日(月) 22時17分

アイガモや酒も「農薬」? 法改正で「特定」指定候補に朝日新聞

 アイガモにスズメ、コイやカエル、牛乳、酒、コーヒー……。これらがみんな「農薬」に指定される可能性が出てきた。農薬取締法改正で登録されたもの以外は使えなくなったため、農水省と環境省は農家が除草などに利用してきて人畜に無害なものを幅広く「特定農薬」に指定して合法化しようとしているが、その候補を挙げたところ、動物や食べ物がずらりと並んでしまった。無農薬農業に取り組んできた農家や研究者からは反発の声が上がっている。

 国内で登録されていない農薬が44都道府県で流通したこの夏の事件を受けて今月改正された同法では、無登録農薬は従来禁じられていた販売だけでなく、製造や輸入、使用も禁止された。

 施行される03年3月からは登録品目以外は使えなくなる。原材料から農作物や人畜、水産動植物に害がないことが明らかなものは新たに農水相と環境相が指定する「特定農薬」として使用を認めることになった。

 指定品目を決めるため農水省が都道府県やインターネットを通じて該当するものを募ったところ、約690種が集まった。

 それをもとに農水省が挙げた「特定農薬」候補にはアイガモ、アヒル、コイ(除草)▽カエル、テントウムシ(除虫)▽ニンニク液(防虫)▽木酢液(防虫、土壌殺菌)▽牛乳(アブラムシ防除)▽コーヒー(ダニ類防除)▽米酢、焼酎、植物灰(病気予防)▽米ぬか、ふすま(雑草予防)などが並ぶ。同省はこれらを1月末の農業資材審議会農薬分科会に諮問し、3月までに品目を決める。

 これに有機農業の農家を中心に疑問や反発が広がった。今月14、15日に茨城県阿見町で開かれた「日本有機農業学会」の大会では「独自の工夫で周囲の環境に害がない天然素材を見つけても、法律違反で使えないのか」「雑草を抜いたら人間も農薬になるのか? 馬鹿にしている」といった声が相次いだ。

 同学会会長の保田茂・神戸大学教授(食料環境経済学)は「アイガモや牛乳を『農薬』と呼ぶのはいかにも常識に反するし、農業に使ってよい素材をすべて国が指定するという発想は納得しがたい。自然の中で編み出された伝統的な技術は『農家の知恵』として許容すべきだし、現在登録されている農薬にも毒性が強いものがあるのに、そちらの見直しは甘いのではないか」と訴える。

 約720戸が加盟する「全国合鴨(あいがも)水稲会」の事務局長を務める岸田芳朗・岡山大学助教授(総合農学)は「天然由来の素材を『農薬』と呼ぶことで、無農薬で生産した米や野菜に農薬が使われているという誤解を消費者に与えかねない。環境に負荷をかけない工夫をする農家の努力を無視する一方で、農薬漬け農業に対する反省は全く感じられない」と批判する。

 有機農家や消費者などの13団体は1月12日午後1時半から、問題点を話し合うシンポジウムを東京都品川区の国民生活センターで開く(問い合わせは日本有機農業研究会、電話03・3818・3078)。

 農水省農薬対策室は「利用可能な資材をできる限り広く認め、過剰な規制を避けようというのが、特定農薬という制度の趣旨だ。今後の調査で、農家の独自の工夫もきめ細かく反映させたい」としている。

(20:12)

http://www.asahi.com/national/update/1230/022.html

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