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2002年12月05日(木) 15時01分

<敷金返還訴訟>5件が解決 20件規模の2次提訴を予定 毎日新聞

 賃貸マンションなどを明け渡す際の敷金返還を求めた集団訴訟で、提訴から1カ月半の間で、5件が家主側から返還を受けて解決、別の1件も近く和解する見通しであることが5日、大阪の弁護士や司法書士でつくる「敷金問題研究会」のまとめで分かった。同研究会では今月20日にも、20件規模の2次提訴を予定。「敷金返還」の流れを定着させたい考えだ。

 敷金問題では、10月22日の一斉提訴(42件)を含め関西地区の14地・簡裁で計47件が提訴。通常使用による部屋の汚れの原状回復費用を敷金から差し引かれたなどとして1件当たり162万〜10万円(平均約40万円)の返還を求めている。

 解決したのは、47件のうち大阪府内の5簡裁の訴訟。訴状を受け取った家主側がすぐに支払いに応じることを伝えてきたため、いずれも和解し、初弁論までに訴えを取り下げた。返還された金額は25万2500〜8万6000円で、計103万8500円。

 一方、大阪市と大阪府の住宅供給公社が被告になっている訴訟は、簡裁から大阪地裁への移送が決定した。また、大津簡裁での訴訟で、敷金以外の修繕協力金を徴収したとして住宅金融公庫法違反との指摘を受けたケースでは、家主側が大津地裁への移送を申し立てており、本格的に争うことになりそうだ。【山本直】

 敷金返還訴訟で、家主側が法廷で争う前に返還に応じるケースが相次いでいる。「弱い立場の借り手に原状回復の責任を負わせる現状の打開を」と意気込む借り手に対し、業界関係者は「入居するときは納得して契約したのに……」と不満と不安が入り混じった表情を見せている。

 大阪・岸和田簡裁での訴訟を担当することになった道下謙太郎司法書士には、被告となった高齢の家主から連絡があった。家主は「金は払うから、裁判は勘弁を」と頼み込むように話したという。実際の交渉は10分。請求額全額に加え、提訴にかかった印紙代の返還にも応じた。また、大阪・吹田簡裁での訴訟を担当した岡本英子弁護士は、家主から「いきなり裁判とは何だ。ほかにやり方があるだろう」と言われた。しかし、すぐに請求額通り25万円の返還を受けた。

 今夏の活動開始以降、敷金問題研究会が受けた相談は500件以上。集団訴訟を取りまとめる増田尚弁護士は「これまで法律の建前と現実にギャップがあった。返還を勝ち取ることで、健全な市場にしたい」と語る。

 家主側への風当たりも厳しい。訴訟で被告になった大阪市住宅供給公社の職員は「最近『敷金返せ』と電話で怒鳴られることもある。契約と明け渡し時の2度納得してもらっているのに……」と嘆く。また、集団訴訟とは別に、京都府の主婦に保証金を返した兵庫県の不動産業者は「契約上、何の問題もないので訴訟になれば勝てると思ったが、大家さんが嫌がった。契約を覆すような流れができると、業界ばかりでなく、世の中全体がおかしくなってしまうのでは」と話した。

 敷金問題に関する問い合わせなどは、住所、氏名、電話番号を記載のうえ「資料請求」と明記して、同研究会へファクス(06・6943・8045)。 【山本直】


[毎日新聞12月5日] ( 2002-12-05-15:01 )

http://news.lycos.co.jp/society/story.html?q=05mainichiF1205e078&cat=2

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