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2002年11月30日(土) 19時03分

足利競馬、今年度で廃止−−売り上げ低迷、53年の歴史に幕 /栃木毎日新聞

 吉谷宗夫・足利市長は29日記者会見し、今年度を最後に足利競馬(年5回開催)を廃止し、来年度から競馬事業を県営宇都宮競馬へ委譲する、と発表した。同市は県に競馬事業運営協力金として、99〜01年度の平均赤字額の5年分、14億5800万円を支払う。足利競馬は市営として53年間の歴史に幕を閉じる。【扇沢秀明】
 ◇事業、宇都宮競馬に委譲−−来年度、県に協力金14億円支払う
 同市によると、足利競馬場所属の馬350頭や調教師、騎手などの関係者約130人は宇都宮競馬場の所属になる。また、レースがなくなるため、同競馬場はトレーニングセンターとなり、3年間、市が県に無償貸与し、県が管理費を払う。厩(きゅう)舎(しゃ)は市が調教師に貸し付ける。場外馬券の発売は県が続ける。
 一方、廃止に伴い、馬のゲート操作や写真判定などに従事する関係者が仕事を失うほか、開催者が県に変わるため、市は馬券販売者と契約の清算が必要になる。このため、市は関係者計約300人と補償交渉を進める。
 吉谷市長は「近年の景気低迷で、経営努力では補えない売り上げ低迷が続き、宇都宮競馬に吸収していただくことになった。関係者にはご迷惑をおかけするが、経過をご理解いただきたい」と述べた。
 また、現在5%カット中の三役給与をさらに3%追加して削減する条例案を12月市議会に上程すると表明した。
 足利競馬の調教師で、県地方競馬調騎会副会長の日野啓二氏は「撤退は非常に残念で、今は何も答えようがない。宇都宮に移っての3年後も心配だ」と話している。
 ◇05年度までに黒字条件、宇都宮競馬は継続−−知事「地元経済の影響判断」
 福田昭夫知事は29日、競馬検討委員会の答申通り、05年度までに単年度で黒字を達成することを条件に、県営宇都宮競馬を継続することを明らかにした。福田知事は「05年度に黒字になることは厳しいとみている」との認識を示したが、すぐに廃止に踏み切らなかった理由について「関係者も多く(廃止すれば)地元の経済に大きな影響を与える」と説明した。
 県によると、県営競馬への吸収に伴い、足利市が支払う競馬事業運営協力金14億5800万円は、県営競技事業施設整備基金に組み入れられる予定。同基金は現在残高が13億4000万円。今年度は7億円の赤字が予想されているため、今年度末に残るのは6億4000万円のみ。それに足利市からの協力金を加えた計20億9800万円が、05年度までに県営競馬が使える額となる。
 福田知事は29日の会見で「税金で補てんすることは県民の理解が得られない」と強調しており、その約20億円をいかに使うかが、継続か廃止かを左右するカギになる。
 県公営競技課によると、競馬事業が他の競馬に吸収されるケースは、01年度いっぱいで宇都宮市営競馬が県営競馬に引き継がれた例があるだけで、全国で2例目。一方、地方競馬の収益の悪化から、昨年以降、中津競馬(大分県)、新潟競馬(新潟県)、益田競馬(島根県)が相次いで廃止された。【川上晃弘】
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 ■解説
 ◇関係者の不安強く
 29日に廃止が発表された足利競馬は、今年度の赤字(一般会計からの繰り入れ)予想が約2億3500万円、累積赤字は約19億4600万円に上り、「続ければ地獄」(吉谷市長)の状態だった。
 同競馬は最盛期の75年に最高1日1万4622人の観客を動員、80年に最高1日3億2111万円を売り上げた。また、00年11月に地方競馬の日本記録29連勝をマークしたドージマファイターなどの人気馬も誕生した。
 しかし、娯楽の多様化や不況で観客動員、売上額とも低迷。今年9月の開催では、1日平均1148人、6日間の売上額は約4億5600万円にとどまった。
 00年度の市公営事業委員会は「01年度末に赤字ならば撤退」と勧告したが、1年先延ばしにされていた。吉谷市長はかねて馬と騎手を共有している県営競馬との同時撤退を模索していた。
 しかし、県議会は県営競馬の当面の存続を決定。このため、騎手や調教師ら足利競馬関係者と馬を県が引き受けることになり、市はこの補償交渉に関与せずに撤退する形となった。吉谷市長は「県に感謝する。(存続を最終的に決定する)3年後に全く関与しなくて済む。すべて県にやっていただく」と、苦渋の中にも安堵(あんど)の色を見せた。
 しかし、ある関係者は「まるで協力金と引き換えに県に売られたようだ」と漏らし、関係者の不満と将来への不安は強い。また、競馬場は国土交通省の土地だったが、渡良瀬川河川敷の市有地と今年3月に交換したばかり。今後の利用問題も浮上し、市は引き続き慎重な対応を迫られる。【扇沢秀明】
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 ◇足利競馬の歴史
1930年 3月 足利市山辺町の足利競馬場で、県馬匹畜産組合連合会主催で、第1回足利競馬を開催
  46年10月 同市伊勢町に競馬場が新設される
  50年 1月 47年のキャサリン台風で被害を受け、復興を目指し、競馬法に基づく指定市となる
      3月 同市主催の第1回足利競馬を開催
  59年 5月 宇都宮競馬の場外馬券売場を開設
  65年10月 市と県で地方競馬事務委託に関する規約を締結
  69年 8月 現在の同市五十部町に競馬場を移転、新設
  74年 5月 投票業務機械化事業が完了
  85年 4月 足利競馬の場外馬券売場を宇都宮競馬場に開設
  89年 9月 中央競馬騎手招待競争の実施
  96年 2月 所属の「ドージマファイター」が初勝利
  98年10月 高崎競馬の場外馬券売場を開設
  00年11月 宇都宮競馬場でドージマファイターが日本新記録の29連勝を達成
  02年11月 競馬事業からの撤退が決定(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021130-00000001-mai-l09

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