悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録

2002年11月25日(月) 15時20分

<分割賠償>遺族感情に配慮 命日などに支払い毎日新聞

 「一生かけて償ってほしい」。死亡事件・事故の遺族が加害者側に起こす民事訴訟で、損害賠償を命日ごとなどに分割で払う「定期金方式」の請求が相次いでいる。定期金賠償は従来、将来の介護費用など金額が確定しない場合に限り認められていたが、遺族の気持ちに沿った新しい請求方法として、増加を予測する法律関係者は多い。その先駆けとなった東京・音羽の女児殺害事件の山田みつ子被告(38)を相手取った民事訴訟が、来月4日に判決を迎える。

 最高裁の判例解説集によると、戦後、被害者死亡の事案で定期金賠償を命じた判決は41年前に1件しかなく、請求自体もなかったとみられる。

 しかし今年8月、音羽事件の提訴後、10月に東名高速での2女児死亡事故で東京地裁に、今月8日には歩道に乗り上げた車による小4男児死亡事故で札幌地裁に、それぞれ一部を分割払いにする損害賠償訴訟が起こされた。原告側代理人は「遺族側から提案があった」と口をそろえる。

 月命日ごと30年間の慰謝料を求めて札幌地裁に提訴した男児の父の土場一彦さん(44)=北海道北広島市=は「払うのは保険会社だろうが、振り込むたびに加害者は連絡を受ける。事件と向き合い続けることにつながると思う」と話す。音羽事件の志賀こず江弁護士は「一括で受け取るより利息分を損するが、金額の問題ではない。まとまった賠償額が出て『これが命の値段』と示されるのも、遺族にとってはつらいことだ」と訴える。

 また、東名高速事故では、両親は女児が将来得られたはずの収入を想定した「逸失利益」を、16年間の分割で請求した。

 逸失利益は通常、先払いする分、運用利息をあらかじめ差し引くが、控除率は複利計算で年5%が慣行。「低金利時代の実態に合わずおかしい」との批判が出ているが、毎年の支払いにすれば「目減り」はなくなる。代理人の松村太郎弁護士は「本来の趣旨に合った逸失利益の受け取り方と言えるのではないか」と定期金賠償の正当性を強調する。

 一方、東京地裁のベテラン判事は「理論的には『毎日払え』『100年先まで払え』といった請求も可能になり、正直あまり歓迎はできない。請求の妥当性の線引きは必要だ」と指摘する。定期金の請求に対し、一括払いの判決を出すことは民事訴訟法上、難しいともされており、裁判所が遺族感情をどこまで配慮できるかが注目される。 【清水健二】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021125-00001080-mai-soci

この記事に対するコメント/追加情報を見る

ニュース記事一覧に戻る

トップページ