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2002年11月16日(土) 20時11分

<大和証券>関連会社元部長がインサイダー取引 監視委が告発へ 毎日新聞

 大和証券グループで法人取引を専門とする大和証券SMBC(東京都中央区)の元部長が、業務で知った株式公開買い付け(TOB)情報を利用して高値で売り抜け、約350万円の利益を得ていたことが分かった。同証券が16日、記者会見して明らかにした。証券取引等監視委員会は証券取引法違反(インサイダー取引)の疑いが強いとみて調べており、東京地検に告発する方針。

 インサイダー取引の疑いが持たれているのは、同証券で企業の合併・買収(M&A)を担当した元事業法人部長(46)。

 同証券によると、元部長は、今年4月に行われた総合商社ニチメンによるグループ企業のアパレル会社「ニチメンインフィニティ」(大阪府箕面市)のTOB情報を事前に知り、ニチメンがTOBを発表した2月14日の直前に、親族名義で計約7000株(1株約1300円)を購入。公表直後に株価は急騰し、元部長は約1800円で売り抜けた。同証券はインフィニティ側のアドバイザーを務めており、元部長は2月上旬にTOB情報を知ったという。

 9月上旬に証券監視委が調査に入り、問題が発覚。元部長は三井住友銀行の出向社員で、9月下旬に同行に戻され懲戒解雇となった。会見した清田瞭(あきら)社長は「全職員のモラル向上など再発防止に全力で取り組み、信頼回復に努めたい」と謝罪した。 【武本光政】

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 大和証券SMBCの元部長によるインサイダー取引の発覚で、証券業界は改めて重い課題を抱え込んだ。バブル崩壊後の相次ぐ不祥事で、業界は投資家の信頼を失い、長引く相場低迷の一因に。このため各社はコンプライアンス(法令遵守)部門の機能を強化し、「間接金融から直接金融」を掲げる政府も、市場改革に力を入れてきたが、新たな不祥事で信頼回復は遠のくおそれがある。同社の業績に影響を与える可能性があるほか、低迷が続く週明けの株式相場に悪影響も懸念される。

 業界では、最近も、国際証券(現三菱証券)が昨年、虚偽のPRで個人投資家を勧誘していたとして行政処分を受けた。バンクオブアメリカ(BOA)証券東京支店は今年、他社転換債(EB)取引での作為的な相場形成で処分され、UFJつばさ証券は今月、1万人以上の顧客データ流出が明らかになった。このような事態を反映し、内閣府が今夏まとめた調査で、「証券会社は信頼できる」と回答したのは12%に過ぎなかった。

 このため、金融庁は証券改革プログラムで「公正性・透明性の確保」を重点に据えて情報開示の充実などを打ち出したり、日本経団連は市場の監視機能を強める「日本版SEC(証券取引委員会)」の設立構想を唱えている。

 大和証券SMBCの清田瞭社長は16日の緊急会見で「誘惑に駆られる情報に接した個人的不正」と強調する一方、「深刻に受け止め、信頼回復に全力を挙げたい」と語った。しかし、証券業界の体質改善にはなお時間がかかりそうだ。 【塚本弘毅】


[毎日新聞11月16日] ( 2002-11-16-20:11 )

http://news.lycos.co.jp/society/story.html?q=16mainichiF1117m067&cat=2

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