旅客機の座席に長時間座り続けて血行障害を起こす“エコノミークラス症候群”になったとして、英国人らの被害者と遺族計５６人が世界各地の航空会社に損害賠償を求めた訴訟の初弁論が５日、ロンドンの英国高等法院で開かれた。

　英国ＰＡ通信などによると、被告は日本航空、ブリティッシュ・エアウェイズ（ＢＡ）など２８社。請求総額は明らかにされていないが、同症候群をめぐる世界最大規模の訴訟とみられる。

　航空会社側は賠償責任を否定しており（１）国際航空運送に関するワルシャワ条約では、通常の運航状態で起きた医療問題は賠償の対象外（２）世界保健機関（ＷＨＯ）や各国政府は航空機搭乗と発症の明確な関連を認めていない—などと反論する見通しだ。

　原告代理人はこの日の弁論で「被害者は航空会社の管理下で病気になった。搭乗と同症候群には関連があり、航空会社は発症の危険を警告しなかった」と主張した。代理人は記者団に「訴訟の被害は氷山の一角にすぎない」と語った。

　これに対し、日本航空本社（東京）の広報部は「訴状を見てから対応を検討したい」と話している。（ロンドン共同）


［毎日新聞１１月６日］ ( 2002-11-06-12:49 )

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