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2002年10月11日(金) 00時00分

住基ネットの自治体向けウイルス対策情報、3カ月更新なし毎日新聞

 8月に稼働した住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)で、各市区町村が利用するコンピューターのウイルス対策ソフトの情報が約3カ月も更新されていないことが、10日分かった。コンピューターウイルスは世界中で毎日数〜10種類の新種が確認されており、「3カ月間更新なし」に、専門家からは「常識外れ」と驚きの声が出ている。

 住基ネットでは、全国的な運用・管理を担当する地方自治情報センターが、独自に策定した運用基準に従って、各市区町村のコンピューターに、原則として2週間に1度の割合で新種ウイルスの情報を配付する計画だった。しかし実際には、情報が最後に更新されたのは住基ネット稼動前の7月31日で、次回更新は10月25日の予定。

 地方自治情報センターは「緊急対応が必要なウイルスが出た場合は更新する」としていたが、9月末に部外者を不正侵入させる新種の凶悪ウイルスが発生した際も、情報の更新などはなかった。

 地方自治情報センターの戸田夏生・システム担当部長は「2週間に1度は原則。更新がなかったのは、住基ネットという閉じたネットワークに脅威を与えるものはないと判断したため。判断基準については、セキュリティー上コメントしない」としている。

■■「常識外れ」「国民にきちんと説明を」と専門家

 これに対し、自治体のネットワークに詳しい森井昌克・徳島大学教授(情報セキュリティー)は「閉じられたネットワークといっても、住基ネットはセキュリティー専門家ではない一般の自治体職員が多数関わっており、ウイルスが持ち込まれない保証はない。情報更新間隔は2週間でも長く、3カ月ではあまりに長過ぎる。安全だというなら、自治体や国民にきちんと説明すべきだ」と話している。

 また、コンピューター科学者でつくる米・有力NPO「CPSR」の日本支部代表、山根信二・岩手県立大学助手も「ウイルス情報の更新が必要かどうか、どういう基準で、だれが判断したのか、作業者や国民に説明されていないことが問題だ。説明責任を果たし、外部監査も入れないと、住基ネットが国家基盤として信頼を得ることはできない」と話している。

■■「不参加は正しい判断と改めて確信」東京都杉並区長

 住基ネット稼動当初から不参加で、最近では市民自身が参加するかどうかを決められるよう住民基本台帳法の改正を求める署名請願活動が始まっている東京都杉並区の山田宏区長は、「ウイルス対策情報の更新は基本的なセキュリティー対策。今回のことで、住基ネットが十分な個人情報保護対策を取っていなかったのが明らかになった。住基ネット不参加は正しい判断だったと、改めて確信した」とコメントした。

■■「調査委で再検討」 片山総務相

 住基ネットのウイルス情報が稼働(8月5日)後、1度も更新されていなかった問題で、片山虎之助総務相は11日、閣議後の会見で、「第一次稼働でバタバタした面もあったと思う。3カ月ごとの更新がいいのかどうか、調査委員会で議論してもらいたい」と述べ、有識者でつくる「住基ネット運営調査委員会」で再検討していく考えを示した。

[地方自治情報センター]
http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/

[住基ネット SPECIAL INDEX]
http://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/archive.html

(太田阿利佐、臺宏士)

http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200210/11/3.html

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