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2002年10月07日(月) 03時09分

<カルテ>岡山大病院が改ざん のど手術で「危険説明」書き加え 毎日新聞

 岡山大医学部付属病院(岡山市)で男性患者(66)ののどの手術中に過って前歯を折る事故があり、医師がその危険性を説明したとするカルテについて、裁判所は「後で書き加えた疑いが強い」と信用性を否定した。病院側が敗訴した昨年2月の判決は1審で確定したが、手術にかかわった医師の処分は行われなかった。同病院は高度先進医療を担う特定機能病院だが、不正な記載への防止策も進んでいない。

 男性患者は96年9月、全身麻酔をして口に喉頭(こうとう)鏡を入れ、のどの血管腫をレーザー光線で焼く手術を受けた。その際、麻酔科と耳鼻咽喉科の医師2人が喉頭鏡を歯に接触させて差し歯6本とふつうの歯1本の計7本を折り、男性は98年8月、損害賠償を求めて岡山地裁に提訴した。

 手術3日前のカルテには、手術時間や麻酔に関する説明のほか「前歯損傷の可能性ありと。特に差し歯であればよりrisk(危険)高くなる」と書かれていた。しかし原告側は「手術前に前歯を折るおそれや、差し歯の場合は危険性が高くなることは全く説明されなかった」と反論した。

 「前歯損傷の可能性——」の部分は、通常なら文章が行の終わりにくると、次の行に移ってつながるはずだが、そのまま用紙の余白にはみ出し、次の行には別の内容が記載されていた。

 判決は「(争いのある)記載が他の部分と比べて不自然。手術後に空白部分を利用して書き加えたことが疑われる」と指摘。「医師は患者の歯に及ぼす影響を認識していなかった」として病院側に234万円の支払いを命じた。

 病院は控訴しなかったが、手術にかかわった医師が判決時にいずれも病院を退職していたことを理由に処分はしなかったという。

 病院医事課は「カルテを正確に書き直したと裁判で主張したが、認められなかった。電子カルテを使い、医師が患者の目の前で画面に記入するなどの方法を取り入れなければ防止策にはならないが、今のままでは難しい」と言う。

 男性患者は「カルテには他にも事実と違うことが書かれており、強い不信感が残る。単純な医療ミスなので、きちんと謝罪して歯を治してくれれば裁判をせずに済んだのに」と話している。 【医療問題取材班】


[毎日新聞10月7日] ( 2002-10-07-03:09 )

http://news.lycos.co.jp/society/story.html?q=07mainichiF1007m142&cat=2

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