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2002年10月07日(月) 21時03分

[肥後評論]自己破産 /熊本毎日新聞

 熊本市で5日、「全国ヤミ金融対策実務交流集会」が開かれた。被害者が語るヤミ金融の取り立ての常軌を逸した実態は、人間の尊厳を粉々に打ち砕く凄まじさで胸が悪くなるほどだった。この手の話は20年以上前から社会問題になっていながら、各県の消費生活センターの相談件数のトップを占め続けているのは残念なことだ。
 特に熊本県は人口10万人当たりの自己破産申立件数が4年前まで全国1位、その後も4位と不名誉な記録を持っている。また、登録している消費者金融業者の数も福岡県の約1560社を別にすると熊本は500社を超え、九州各県の中でも群を抜いている。
 ヤミ金融はアリ地獄のようなものだ。が、誰も最初から手を出すわけではない。登録している消費者金融の借金が膨らみ、返済できなくなると手を染めるのが一般的だ。
 交流集会を支援した「熊本クレ・サラ日掛被害をなくす会」(クレはクレジット、サラはサラ金の略)の吉田洋一さんによると、借金地獄に落ちる状況はさまざまで、金銭にだらしなく遊興費欲しさに消費者金融に走って破綻(はたん)する人もいるが、最近は高齢者やリストラされた中高年などが生活費を補うために借りたのが転落の発端というケースも目立つようになったという。
 「例えば月収14、15万円程度の60代の夫婦の場合、病気や事故などで突発的に出費が必要になると、やりくり出来ず『とりあえず』という気持ちでサラ金に行く人がいる。でも返す余裕がなく取り立ては厳しい。借金を返すために別のサラ金を紹介され、多重債務に陥り、ついにはヤミ金融にということになる」(吉田さん)。
 事態を改善する処方せんはいろいろ示されている。その中で私が特に疑問に感じるのは、出資法の上限金利が29・2%に設定されていることだ。ほとんどの消費者金融が25〜29・2%の利率で貸している。こんな高金利で長期間借りれば家計がどうなるか容易に想像できる。銀行の預金金利が0・001%であることを考えると、あまりにもバランスを欠いている。
 出資法見直しで問題が片付くわけではないが、違反者に刑事罰が科せられるから抑止効果はある。これに手を付けないのは政治の怠慢としか思えない。
 国が動かないなら地方が国を動かす努力をすればいい。実は熊本以外の九州各県もすべて自己破産の全国ワースト10に入っている。ちなみにトップは宮崎で2位大分、3位福岡だ。そこで一つ提案したい。熊本がリーダーシップをとり、県議会で出資法改正の決議をし、政府や国会に提出する。その後、同様の行動を取るように各県に働き掛けてみてはどうだろう。
 自由社会は自己責任が原則だが、理不尽な法は社会をむしばむ。(熊本支局長 野崎伸一)(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021007-00000002-mai-l43

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