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2002年08月25日(日) 15時18分

ニュータウン真下に軍需トンネル、門柱陥没10戸転居読売新聞

 兵庫県三田市のニュータウンで、戦時中に作られた軍需工場のトンネルが原因で陥没が起き、10世帯が転居を余儀なくされたことが24日、わかった。開発分譲した都市基盤整備公団関西支社(大阪市)は、これらの世帯に土地建物を買い戻すなどの補償をし、来月にはトンネルをコンクリートでふさぐ工事を完了させるが、トンネルの存在を知らせずに宅地を販売しており、住民からは「そんなものがあることがわかっていれば買わなかった」との不満が出ている。

 トンネルがあったのは、同市けやき台5の「ウッディタウン」内の住宅街。

 戦時中、付近は山林で、米軍の空襲を避けるために軍用機のプロペラ工場を地下に作ろうと丘陵地が掘り始められたが、完成せずに終戦を迎えた。

 同公団や関係者によると、公団は20年前の地質調査で直径約2メートルのトンネル7本(計200メートル)が交差しながら伸びていることを確認したものの、岩盤が厚いため安全とし、入り口を土砂でふさいで造成した。地下14—7メートルに空洞が残ったことは公表せず、1993年から分譲した。

 ところが98年10月、トンネル入り口の真上にあたる民家の玄関前で、直径約50センチの敷地の一部が約1・5メートル陥没し、門柱がすっぽりと埋まってしまった。

 このため公団は、付近12か所でボーリング調査。「空洞にたまった地下水位の変化で入り口の土砂が空洞内に流れ出し、穴が開いた可能性が高いが、空洞そのものが崩落する危険性はない」と結論づけた。

 しかし、「陥没が心配で眠れない」など住民の不安はぬぐえず、公団は空洞が真下にある11世帯を対象に、土地家屋を購入時の価格で買い戻し、引っ越し代などを負担することとし、昨年10月までに10世帯が転居したという。

 公団は現在、「不安解消」のため、空洞にモルタルセメントを注入する工事を実施中。9月の完了後は、買い戻し住宅を中古物件として販売する予定だ。

 ウッディタウンは同市南西部の約600ヘクタールで整備が進められ、すでに約2万8000人が入居。他に3か所の地下トンネル群があったが、地表近くだったため、開発の際に公団が埋めている。

 関西支社は「当時、入り口だけの埋め戻しで安全と判断したが、地下水位の変動は予測外。空洞があることを事前に伝えるべきだった。住民に迷惑をかけて申し訳ない」としている。

        ◇

 6年間暮らした後、昨年秋に引っ越した女性は「交通の便が良く、静かな住宅街なので終(つい)の住処(すみか)として選んだ。隣近所との付き合いもあり、あのまま過ごせたらどんなに楽しかったろう」と嘆き、別の男性は「いくら安全だと言われても……。コンクリート注入工事で家が傷むかもしれないと思った」と振り返る。

 一方、移転補償の対象にならなかった男性会社員(50)は「周辺の地下にトンネルがあることを事前に知っていれば、ここを買わなかった。今は虫食い状に空き家があり、治安上も良くない。早く元の街並みに戻してほしい」と話していた。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020825-00000201-yom-soci

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