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2002年08月06日(火) 00時34分

住基ネット、不安解消の道筋見えず朝日新聞

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)では、個人情報保護への不安が一向に解消されていない。政府は5日の住基ネットの1次稼働を電子政府への「号砲」としたい考えのようだが、問題だらけの個人情報保護法案を継続審議にしているようでは、その道のりは平坦(へいたん)ではない。

 福田官房長官は5日午前の会見で「新しいことを始める時の不安はよくある。しかし、実際にスタートして、最終的には合意を得られると思う」と語り、住基ネットへの不安は一時的にすぎないとの見方を示した。しかし、不安をどう解消するか問われても、相変わらず具体策は何も示さないままだ。

 住基ネット批判の根底には、政府への不信感がある。ジャーナリストの桜井よしこ氏らは「住基ネットの一方で行政機関個人情報保護法案が成立するなら、政府は『相当な理由』があれば情報の目的外利用ができる」と、政府による情報流用の危険を指摘。自治体でも「情報漏洩(ろうえい)や目的外利用の危険性は、むしろ国や全国センターの側にある」(神奈川県内の市担当者)と懸念が広がる。

 総務省はこうした批判に慌て、「個人情報保護は万全」としたリーフレットを100万部、ポスターを3万部つくり、自治体に配布したが、ネット参加を見送る自治体が続出。与党の保守党も「システム障害や内部職員による情報漏れ等に対する懸念は完全に払拭(ふっしょく)できない」との見解を5日に出さざるをえなかった。

 一方で、自民党などには危機意識は希薄だ。山崎拓幹事長は4日のテレビ番組で、「実際の実施は来年8月。この1年間は予行演習みたいな話だ。この1年間に個人情報保護法を通せばよい」と言うばかり。個人情報保護法案の修正検討会も本格協議は9月以降に先送りしてしまった。

 住基ネットの延長線上には、電子政府・自治体を進める政府の「e−JAPAN戦略」がある。政府は03年度までに電子政府・自治体を整備し、05年度には世界最先端のIT(情報技術)国家になると宣言。03年度までに、国・地方の行政手続き約5万2000件のオンライン化を目指す。小泉首相も5日、「(住基ネットへの参加問題は)新しいIT時代、電子自治体、そういう時代にどうやって対応するかだ」と記者団に強調した。

 将来の電子政府構想では、本人がインターネットなどで行う「電子署名」が本物かどうかを確認する方法として、住基ネットが最も有効な選択肢と政府はみている。

 電子政府と個人情報保護の矛盾点を解消できなければ、国民の不安は住基ネット稼働とは比較にならないほど高まりかねない。もはや電子政府は、行政の都合だけで進められる問題ではなくなっている。

(00:30)

http://www.asahi.com/politics/update/0805/010.html

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