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2002年08月06日(火) 03時04分

陸自情報網のデータ流出、管理会社へ買い取り要求読売新聞

 陸上自衛隊の情報データ通信システム(部隊内情報通信網、LAN)の「IP(インターネット・プロトコル)アドレス」やシステムの経路図が外部に流出していたことが5日、明らかになった。システムを管理する富士通(本社・川崎市中原区)に対し、外部の複数の男から資料の買い取り要求があったことから判明したもので、同社は5日、その男らを神奈川県警中原署に恐喝未遂容疑で告訴状を提出した。防衛庁も流出経路の特定を急いでいる。

 富士通によると、部隊内LANは東京・市ヶ谷の防衛庁内にある陸自のホストコンピューターと各地の駐屯地などのコンピューターの端末を結んでおり、人事情報や連絡事項などの部隊情報をメールで送受信している。

 IPアドレスは、ネットワークにつながるコンピューターごとに割り振られた識別番号で、「コンピューターの住所」にあたる。流出したのは、部隊内LANに接続する端末のIPアドレスで、システムの経路図は、ホストコンピューターと各駐屯地のコンピューターの端末がどうつながっているかが書かれたものという。ただ、同システムは部隊内の専用回線で結ばれていることから、外部からの接続は不可能としており、外部からの不正アクセスで防衛庁の機密情報が外部に漏れたかどうかは不明という。

 IPアドレスなどの流出が判明したのは6月末で、外部の男が防衛庁の契約案件を専門に担当する富士通特機システム本部に「富士通の社員から防衛庁のシステムの資料を入手した」として面会を求めたのがきっかけ。同本部の営業部長らが都内のホテルで応対したところ、会社役員と自称する数人の男から「システムの資料の一部を持っている。これが外に漏れると困るだろう。買い取った方がいいのではないか」と資料十数枚を渡された。富士通が防衛庁と協力して調べたところ、この資料に同通信システムのIPアドレスや、システムの経路図の一部が記されていたという。

 防衛庁は流出した内容などの確認を進めているが、「警察で捜査しているので一切コメントは出来ない」としている。

 現在、防衛庁は全庁をネットワークでつなぐシステムの開発を進めている。同庁は「幾重にもパスワードがかけられており、重要情報の漏えいはあり得ない」としているが、防衛庁の場合、他省庁と異なり、国家機密、防衛機密などを扱うだけに、一段と情報漏えいの防止が求められる。

 ◆データ流出に防衛庁衝撃「あり得ないこと起きた」◆

 問題の通信システムは、富士通が昨年4月に同庁と契約、今年2月に納入した最新システム。開発、管理を担当する同社の特機システム本部では、作業する部屋にはセキュリティーチェックを設け、資料の持ち出しも厳重管理していた。

 流出が発覚した6月末以降、同社は、同本部や下請け会社の内部調査を行っているが、資料流出の経路は確認できていない。

 富士通の説明によると、システムは専用回線を使っているため、部内端末からパスワードを入力しない限りはアクセスできない仕組みだという。しかし、IPアドレスの流出でコンピューター端末がどの部署に配置されているかが部外者に分かってしまうことになる。同社は「情報がどうして漏れたのか。内部調査は限界があり警察に告訴することにした」としている。

 一方、防衛庁は「機密情報にあたるものの流出は確認できていない」(幹部)としている。ただ、最新ネットワークシステムの情報流出が判明したことで、「あり得ないことが起きた」と衝撃を隠せない。

 防衛庁では、民間業者に任せたシステム開発を巡って、過去にも様々な問題が起き、ずさんな情報管理体制が懸念されていた。

 1990年には、航空自衛隊のバッジ(自動防空警戒管制)・システムに関する秘密事項を含む文書のコピー70枚以上が、フィリピンで売却されそうになった事件があった。文書は、システム開発を担当した「NEC」が同庁の資料を基に作成したもの。フィリピンの犯罪組織に売り込みが図られたところを現地警察当局が押収。日本側に送付されたが、防衛の根幹を脅かしかねない事態だった。

 2000年には、海上自衛隊の指揮管制支援プログラムの開発や陸上自衛隊の業務システムソフト開発に、オウム真理教の信者や同教団が運営するコンピューターソフト会社がかかわっていたことが発覚した。  (読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020806-00000101-yom-pol

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