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2002年07月19日(金) 19時10分

<違約金>業者の請求を棄却 消費者契約法を初適用 大阪地裁毎日新聞

 中古車販売業者が注文契約の2日後にキャンセルした客に違約金18万円の支払いを求めた訴訟で、大阪地裁(曳野久男裁判官)は19日、「業者に実損はなく、販売で得られたはずの粗利益も損害とは言えない」と判断、「損害を超える違約金は無効」と定めた消費者契約法に基づき、請求を棄却した。日弁連によると、昨年4月に施行された同法の規定を適用した判決は、地裁レベルで初めて。

 また、消費者保護を目的とした同法の趣旨から「消費者が、事業者に損害が生じていないことを立証するのは困難であるから、事業者に(損害の)立証責任がある」と判示。大学などに前納入学金の返還を求めた訴訟など、同法を根拠にした訴えが全国で相次いでいるが、消費者に有利な判断が初めて示されたことで、他の裁判にも影響を与えそうだ。

 判決によると、大阪府堺市の中古車販売業者は昨年6月、京都市内の男性会社員(27)から軽乗用車の注文を受けた。ところが、会社員が契約の2日後に解約を申し出たため、「客の都合で契約を撤回した場合に15%の損害賠償を支払う」とした注文書の特約事項に基づき17万8500円の支払いを求めて提訴した。

 業者側は裁判で、違約金支払いを盛り込んだ契約は有効であり、当該車両の販売で得られたはずの粗利益が損害に当たると主張。一方、会社員側は「事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える違約金は無効」とした消費者契約法を根拠に、請求は無効とした。

 判決は、業者から「代金の支払いを受けてから車両を探す」と言われた会社員が、代金を支払わないまま解約していた点を重視し、「業者に実損が生じてない」とした。さらに、仮に注文車両を確保していたとしても「他の客に売ることが可能であり、男性への販売で得られるはずだった粗利益は『平均的な損害』に当たらない」と認定した。 【山本直】

 消費者問題に詳しい島野康・国民生活センター相談部長の話 消費者契約法を実務でどう活用するかについては、判例の積み重ねが大切だ。同法関連の訴訟は少額で、地裁で争われるケースは少ないと考えていただけに、この判決は大きな力を持つだろう。特に、消費者が原告か被告かという点にこだわらず、事業者側に立証責任があると明確に認めた意義は大きい。

【視点】事業者の実損以上は支払わなくてよい

 消費者契約法の適用をめぐる19日の大阪地裁判決で重要なのは、違約金の支払い(損害賠償)にあたって(1)事業者が得られるはずだった利益は損害とならない場合がある(2)損害の立証責任は事業者側にある——とした2点だ。これまで契約書に違約金支払いの特約があれば、消費者は無条件に応じる傾向にあったが、事業者の実損以上は支払わなくてよいことがはっきり示された。

 例えば、先ごろ集団提訴があった大学・専門学校の前納入学金返還訴訟。今回の判決に従えば、大学側は入学しなかった合格者に入学金を返還することが「損害」に当たるのかどうか、自らが積極的に立証しなければならなくなった。

 こうした特約を設けている契約は他にも多いはずだ。無用なトラブルを避けるためにも、事業者は契約のキャンセルの項目が法に照らして適正な設定となっているか見直すこと、また、消費者はキャンセル料が「当たり前」との考え方を捨てるとともに、契約前に内容を確認する努力が必要だ。 【山本直】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020720-00000026-mai-soci

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