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2002年07月19日(金) 14時56分

「投薬で悪化」と告発の薬剤師会長、医師会圧力で辞任読売新聞

 介護が必要な高齢者らの1割強は、症状を悪化させる不適切な投薬を受けている、との論文を東京都港区の薬剤師会長が専門誌に発表した。ところが、論文の基になったのが非公開の資料だったことから、薬を処方した医師らが所属する区医師会は「守秘義務違反のうえ、医師の裁量権を侵す」と反発、薬剤師会長は辞任に追い込まれた。薬の副作用で症状が悪化する例は少なくないとされ、薬剤師の“告発”は波紋を呼んでいる。

 論文を発表したのは、前同区薬剤師会長で、介護保険の要介護度を判定する介護認定審査会委員だった島野純(あつし)さん(66)。昨年8月までの1年間に審査会に提出された、薬の処方に関する医師の意見書を分析、865件のうち、94件(10・9%)に「薬学的な疑問があった」として、患者、医師名を伏せ報告した。

 前立腺肥大症のほか、下痢、便秘を繰り返す男性(76)の場合、処方薬11種類のうち、便秘を起こしやすい薬が10種、下痢を起こす薬も7種含まれていた。進行性筋ジストロフィーの女性(69)には、症状を悪化させる薬が出ていた。意識障害から暴言暴行を起こす男性(87)は、錯乱状態を起こす副作用がある胃薬を服用。痴ほうと食欲不振のある女性(89)の薬には、食欲低下の副作用があった。論文は薬学誌「臨床と薬物治療」1月号に掲載された。

 これに対し、平岡啓佑・区医師会長は「患者や区、主治医に無断で資料を使ったのは守秘義務に反し、処方批判は医師の裁量権を侵す」として、区薬剤師会長の辞任を要求。区も、区個人情報保護条例や厚生労働省令に基づく守秘義務に抵触するとして、区薬剤師会に抗議、訂正文掲載を要望した。

 島野さんは「論文は患者のプライバシーを侵すものではなく、投薬の注意喚起には問題点を具体的に指摘する必要があった」と反論しているが、結局、区薬剤師会長や介護認定審査会委員を辞任。同会も「資料の取り扱い、論旨に不適切な個所があった」との謝罪文を同誌先月号に載せた。

 処方内容に疑問がある場合、薬剤師は医師に照会する義務があるが、処方せんを出す優位な立場の医師には消極的になりがち。厚労省は4月、薬剤事故防止のため、日本薬剤師会に疑義照会の徹底と、日本医師会に協力を要請している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020719-00000105-yom-soci

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