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2002年07月10日(水) 00時10分

<著作権法違反>電子ペットデザイン模倣は無罪 仙台高裁判決毎日新聞

 人気電子ペット玩具「ファービー」の模造品を所持・販売したとして著作権法違反の罪に問われた2法人、3被告の控訴審で仙台高裁は9日、すべて無罪を言い渡した。松浦繁裁判長は「ファービーのデザインは、著作権法で保護される『美術の著作物』には当たらない」と述べた。大量生産された玩具など実用品のデザインが著作物と言えるか否かが刑事裁判で争われた初のケースで、1審・山形地裁では判断が分かれていた。検察側は上告を検討する。

 判決は、大阪市の玩具販売会社「ナカヨシ」と役員、中島雄二被告(45)▽仙台市の玩具販売会社「ビッグアロー」(昨年8月自己破産)と元役員、庄司照雄被告(51)には1審の無罪を支持、検察側の控訴を棄却した。東京都台東区の雑貨販売店「ニチギン」社長の津崎次年被告(45)については1審の懲役1年、執行猶予3年を破棄、逆転無罪とした。

 高裁判決は、鑑賞用の純粋な美術品と違い、美的要素のある実用品(応用美術)は「純粋美術と同程度に鑑賞の対象になる場合だけ、著作権法で保護される」と指摘。ファービーのデザインは「電子玩具の機能を保つ要請が色濃く、鑑賞の対象となるだけの審美性はない」と結論づけた。

 検察側は「愛らしく、美的特性がある」などと主張していた。

 ファービーは音や光に反応して動き、話す言葉が次第に増える。米国タイガー・エレクトロニクス社が98年発売し、日本では「トミー」が独占的販売権を得て99年に売り出された。 【太田誠一】

◇「コピー天国」の警鐘も 意匠制度に限界

 仙台高裁判決は、美的要素のある実用品について「原則として著作権法で保護されず、意匠法など工業所有権制度での保護に委ねられる」と指摘し、同種の民事裁判例と整合する判断を示した。

 結果的に、検察側は適用すべき法律を誤ったことになる。

 ただ、意匠制度は登録まで約1年かかり、流行の周期が半年程度とも言われる人気商品の保護には限界がある。半田正夫・青山学院大学長(著作権法)は「日本がコピー天国となる危険性がある」、杉山喜重・日本玩具協会事務局長も「人気商品は創作性が高く、著作権法で保護すべきだ。工業立国の発展にマイナスになる判決」と憂える。

 今回は、国内販売に先立って模造品が流通したため不正競争防止法が適用されないなど法律の谷間の領域だったことが、検察側の敗北を招いたともいえる。知的財産などの保護を巡る法体系見直しを求める声も再燃しそうだ。 【太田誠一】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020710-00000076-mai-soci

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