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2002年07月04日(木) 00時00分

相次ぐ個人情報流出 “お寒い”企業の危機管理 警視庁 『道に置くのと同じ』 中日新聞

 大手企業や自治体ホームページ(HP)などから個人情報の流出が相次いでいる。五月末以降の判明分だけで十二万件以上。ハッカー被害との見方も出たが、背景を探ると多くは「サーバーの設定ミス」(専門家)などで、知識や注意不足が原因。情報技術(IT)社会のお寒い情報セキュリティー事情が浮かび上がる。

 ■永久に回収不能

 ネット経由で音楽などをやりとりするファイル交換ソフトで、最近は企業から漏れた名簿までが交換されている。ブロードバンド(高速大容量通信)の普及で数万人の名簿でもパソコンへの取り込みは一瞬だ。

 「企業努力で名簿を回収した例もあるが、永久に回収不能な時代」とネット事件に詳しい紀藤正樹弁護士(東京)。紀藤弁護士のHPには、エステティックサロンTBC(東京ビューティセンター)から流出した名簿の女性らが、深刻な悩みを書き込んでいる。名簿には学歴、職歴に携帯電話番号、悩みやスリーサイズまで含まれ、弁護士は「泣き寝入りできないケース」と訴訟などの法的対応を検討している。

 ■IT社会の死角

 道端に名簿を置いていたのと同じ−。原哲也警視庁ハイテク犯罪対策総合センター所長の説明は明快だ。一連の流出情報はサーバーの公開部分に置かれ、誰でも見られた。最低限の防御もしていないケースが多く、企業の相談で「法的に不正アクセスと判断できるものはない」という。

 不正アクセス被害を訴える企業が、加害者の場合もあるのにその認識すら薄い当事者も多い。ネット上のセキュリティー専門誌発行のバガボンド(東京)担当者は「企業の知識不足、認識不足がひどい」と批判する。

 ■大きい訴訟リスク

 「一人一万五千円」。京都府宇治市が約二十一万人分の住民票データを流出させた事件で昨年末、大阪高裁が下した損害賠償額(現在、市が上告中)だ。個人情報を流出させた場合、企業はブランドへの信頼が傷つくだけでなく、訴訟リスクも抱え込む。

 「管理するだけの価値がないなら、不要な個人情報は集めないこと」とCPデザインコンサルティング(東京)の鈴木靖社長は強調する。「怖いからうその個人情報しか記入しない」(ネット利用者)。消費者の信頼を失ったネット経済に、健全な発展はない。


http://www.chunichi.co.jp/00/kei/20020704/mng_____kei_____000.shtml

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