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2002年07月01日(月) 00時00分

司法書士連合会「少額裁判サポートセンター」開設 東京新聞

 貸した金を返してもらえない、敷金が戻ってこない、賃料の滞納…。こんなトラブルに困っている人たちを助けようと、司法書士たちが動き始めた。日本司法書士連合会が7月1日、少額裁判サポートセンターを全国一斉50カ所に開設。東京での相談は新宿区本塩町で3日から受け付けをスタートする。少額裁判(訴訟)とは何か。サポートセンターの役割は。

 JR四ツ谷駅そばの日本司法書士会館。少額裁判サポートセンターはこの一階に開設される。水曜午後三時から六時、土曜同一時から四時の週二回で、司法書士の相談員一人が無料で応対する。

 東京司法書士会の高良実理事は「どれだけの人が相談に訪れるか予想できないが、需要があれば回数や相談員を増やしていく。多くの人に利用してほしい」と話す。

 少額訴訟は、簡易裁判所の事件の中でも三十万円以下の金銭の支払いを求める際に提起できる。原則一回の審理で紛争を解決する。一九九八年の民事訴訟法改正で新設された制度。費用と時間がかかる従来の裁判に比べ、迅速・簡単に問題解決を図ることができる。

 日本司法書士会連合会は二年前、全国主要八簡易裁判所で、少額訴訟の利用状況を調査した。認知度が低い地域もあるが、うまく機能しているケースも多かった。

 懸念されていた貸金業者などによる乱用も少ない。常任理事企画担当の加藤政也さんは「普通の市民によく利用されている。訴える方も訴えられた方も、納得しているケースが多い」と説明する。

 具体的にはどんな事案が多いのか。東京で比較的多いのが敷金を返してもらえないケース。加藤さんは「一般には、賃借人には、部屋を完全に原状回復して返還する義務があるように思われています。でも、通常の使用に伴って生じた劣化・破損などの補修費用については、賃借人が負担する義務はないという判例が多いのです」と説明する。

 では、友人に貸した金を返してもらえないケースは。

 「返す期限が明らかにされていない場合でも、借用書があれば大丈夫。内容証明で期限を限って催促をし、それでも返してもらえなければ、少額訴訟手続きをすればいいのです」

 少額訴訟の特徴の一つは、本人訴訟が多いこと。理由は、多額の費用がかかるようでは、訴訟を起こす意味がなくなるから。例えば、三十万円の返還請求の場合、司法書士に書類作成を依頼すれば、それだけで五万から十五万円。弁護士だともっとかかる。

 本人訴訟だと「印紙代と郵便代だけ、数千円で済むことが多い。時間も、裁判所の書記官との打ち合わせに一時間、裁判に一時間で済む場合もある」と加藤さんは語る。

 注意すべき点は。

 「紛争当事者は、とかく感情的になるが、争点を明らかにし、内容を整理すれば、書類は簡単に書ける。もし、司法書士の助けが必要なら紹介もする」(加藤さん)

 サポートセンターは、そんな少額訴訟への助言を行い、小さなトラブルに泣き寝入りしないよう市民の味方になる。

 TOKYO発では、五月三十一日の紙面で、東京下町の弁護士不足を補うため、弁護士会の公設事務所が設置される話題を紹介したが、少額裁判サポートセンターは、いわばその司法書士版。

 来年四月には改正司法書士法が施行される。これまでは書類の作成しかできなかった司法書士も、簡易裁判所の法廷に立つことができるようになる。市民にとって敷居が高かった裁判が、より身近に利用しやすくなることが期待される。

 東京の問い合わせ先は、サポートセンター=電03(3353)9191。月曜から金曜日午前九時から午後五時まで。

 文・吉岡逸夫

 (メモ)司法書士 

 依頼を受けて、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類を作成したり、不動産登記、商業登記の手続きを代理して行う人。東京には2192人、全国では約1万7000人が登録されている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20020701/mng_____thatu___000.shtml

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