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2002年06月25日(火) 17時50分

「リンクに許可が必要だって?」——NPRの方針に募る反発(上)WIRED

 顔も名前も見えない大企業が、その企業のウェブサイトへリンクを張ろうとするウェブマスターに対して「リンク・ポリシー」を押しつけようとするとき、人々がどんな反応を示すかはおおよそ予想できる。頭に来て、腹いせにリンク・ポリシーに反するリンクを何十も張り、リンクされたくないのならウェブサイトなど開設すべきでないのに、わかっていない奴がまだいると嘆いたりするだろう。

 19日(米国時間)、新たにある巨大な組織が厳格なリンク・ポリシーを課そうとしているのを発見した http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020220208.html ウェブログ(日本語版記事)開設者たちも、やはり同じような反応を示した。ただ、今回はその大組織が企業ではなく、米ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)であることがいつもと違っていた。NPRは広告収入ではなく、メンバーとなっているラジオ局などから支払われる資金で運営されている、非営利ラジオ局の全米ネットワーク。しばしば自らを、大企業と正反対のものと表現している組織だ。

 そのNPRが、自社ウェブサイトに置いたリンク申し込みフォームに次のように書いている。「このサイトにある素材はすべて、NPRの書面による承諾がない限り、リンクおよびフレーミングすることを禁じられている」

 NPRサイトにリンクしたい者は、この申し込みフォームに必要事項さえ記入すればいい。だが、その「必要事項」が問題だ。リンクする者の名前、電子メールアドレス、住所、電話番号、リンク元のサイトに関する情報、リンクする期間、「リンクの推薦文および付随する文章」、リンク元のサイトを運営する法人が登記している州名、そして商用サイトか否かまで記入するよう要求している。

 この要求は新しく始まったものではない。問題のページでは、申し込みフォームが最後に更新されたのは今年の3月となっていた。しかしこのページは、19日にウェブログで大きな話題になった。その前日、有名なウェブロガーのコリー・ドクトロー氏が、自らのウェブログ・サイト『ボインボイン』にNPRの申し込みフォームへのリンクを http://boingboing.net/2002_06_01_archive.html#85180752 張ったのだ。

 「リンクの階層に関係なく、NPRはフォームへの記入を要求している」とドクトロー氏は書いている。

 それだけでなく、ドクトロー氏は、NPRのリンク・ポリシーを「きわめて馬鹿げたもの」と酷評し、NPRのやり方を国際的な会計監査法人KPMGがとった行動になぞらえている。KPMGは昨年、数名のウェブマスターに対して、同社のウェブサイトへリンクするには「正式な同意」が必要だと http://www.wired.com/news/business/0,1367,48874,00.html 通知したのだ。

 ドクトロー氏のウェブログで張られたNPRフォームへのリンクは、いくつかのウェブログおよびディスカッション・サイトに転載されたが、おそらくそのほぼすべてが、NPRの承諾を受けていない。

 NPRのオンブズマン、ジェフリー・ドボーキン氏は電話取材に答え、問題のポリシーに関する問合せの電子メールを20〜30通ほど受け取り、すべてに返事を出したと述べた。

 ドボーキン氏は返事に次のように書いたという。「NPRはリンクされることを拒否しているわけではなく、非営利の報道機関にふさわしいリンクの張り方であるか確認したいだけだ。われわれは営利組織が勝手な方法でNPRを利用するのを避けたい」

 ドボーキン氏は、 http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=index&cid=642 米ヤフー社のようにNPRサイトにリンクしている商用サイトがあることは認めている。だが、「ヤフー社はNPRと提携契約を結んでいる」と説明した。(しかし、リンクしている商用サイトのすべてがNPRと同様の契約を結んでいるわけではないようだ。米グーグル社もニュースページからNPRへリンクしているが、同社広報担当者によると、NPRと正式な契約は交わしていないという。)

 NPRが気にしているのは営利活動だけではない。ドボーキン氏は、非営利の個人ホームページからリンクすることも問題なのかとの質問に対し、次のように答えた。「それはホームページの内容による——もしウェブ管理者が特定の主義主張を掲げる人々を擁護している場合、リンクを許すのは適当だろうか? われわれは擁護団体の片棒を担ぎたくない」

 「これは、NPRが報道での非営利性と、いかなる主義主張の擁護活動にも関わらない姿勢とを貫くためでもある」とドボーキン氏。

 だが、この答えにはいくつも問題点があるという批判の声も上がっている。中でも最たるものは、仮にリンク・ポリシーを設けることに法的根拠があるとしても——批判者たちはそんな根拠などないと言うが——、NPRは営利団体と擁護団体だけがリンクを禁じられるとは説明していないということだ。ドボーキン氏によると、同氏自身はその問題は認識しており、「法務部門に連絡済みであって、そちらから明確な説明がある予定だ」という。その説明の中で、リンク・ポリシーに関し「少なくともいくらかは論理的な説明となる」はずだ、と述べている。

 そのように言いながらも、NPRは依然として、リンクを望むすべてのサイトに対して、営利非営利、擁護団体か否かにかかわらず、承諾を得るよう要求する意向だ。理由は? 「誰がリンクするか把握しておきたいからだ——法務部門がそのように言っている」とドボーキン氏は答えた。

(6/26に続く)

[日本語版:中沢 滋/山本陽一]日本語版関連記事

http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020611204.html 正統派ジャーナリズムが「ウェブログ」を認知?

http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020507207.html 「リンク切れ」は遠隔学習の妨げになるか

http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020423206.html 「ナップスター革命」に匹敵する「ウェブログ革命」

http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020220208.html ウェブ上で日記を公開する『ウェブログ』の可能性

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http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/3780.html 人気急上昇中の「ウェブログ」とは


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