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2002年06月20日(木) 22時10分

<まちづくり>オウム真理教対策の条例を可決 世田谷区議会 毎日新聞

 東京都世田谷区議会は20日、区内に事実上の本部があるオウム真理教(アレフに改称)対策を盛り込んだ「世田谷区安全安心まちづくり条例」案を45対8の賛成多数で可決した。同教団対策を目的とする自治体の条例は全国で初めて。

 21日から施行される同条例によると、世田谷区は(1)信者の住む近隣の住宅の資産価値低下などの影響調査(2)安全な生活に資する事業の実施(3)反対運動をする区民らの団体に対する活動費補助——が出来る。調査や事業は、同教団を示す「団体規制法の処分を受けている団体」の集団活動により、区民が安全で安心して生活することが妨げられる恐れがある時との制限がついている。

 共産党は「(住民が住民を監視する戦前の)自警団的な内容が含まれている」として同法に基づかない独自条例案を提出したが、否決された。

 アレフの荒木浩広報部長は「条例は憲法違反。信者への偏見を助長し、少しずつ広がり始めた住民との対話を妨げる」とのコメントを出した。 【宮本扶未子】

 世田谷区が「オウム対策条例」を制定した背景には、信者の転入届受理の拒否が裁判で「違法」と判断され、新たな対策を迫られた事情があった。いわば苦肉の策と言える。

 信者が全国で起こした27件の住民票訴訟では、自治体敗訴の判決が続き、控訴審も含めると16連敗中だ。「住民の安全確保に必要な措置」とする自治体側の主張はことごとく退けられ、「居住が事実ならば、転入届を受理する義務がある」との司法判断が定着した。

 教団施設を抱える約30の自治体でつくる「オウム真理教対策関係市町村連絡会」は危機感を強め、団体規制法に基づく観察処分の延長を国に要望しているが、他に有効な対策を打ち出せないでいる。こうした中、「もはや司法には期待できない」(大場啓二区長)と判断して、打ち出したのが今回の条例だった。

 教団進出に反対する住民団体は「資金面での援助への期待は大きい」と歓迎する。その一方、「人権侵害の恐れ」を指摘する反対意見があり、区も全く無視するわけにはいかないが、新条例が住民の不安解消にどのような効果を上げるか注目される。 【森本英彦】


[毎日新聞6月20日] ( 2002-06-20-20:14 )

http://news.lycos.co.jp/society/story.html?q=20mainichiF0621m085&cat=2

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