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2002年05月19日(日) 03時02分

ワン切り請求「払う必要ない」読売新聞

 「ワン切り業者に料金を支払う必要はあるのか」——。携帯電話の「ワン切り」の手法でわいせつ番組を流していた業者を警視庁保安課が先月摘発して以降、同庁や国民生活センターにこんな問い合わせが続々と寄せられている。

 好奇心で番組を聞き続けてしまい、法外な料金の督促に苦しむ人の“被害実態”が浮き彫りになった形だ。警視庁などは、「番組を聞かないことが一番の業者撃退法なのだが……」としながら、問い合わせに対しては、「そもそも公序良俗に反するサービスなので、支払う必要はない」と回答している。

 「ワン切り」は、携帯電話の呼び出し音が1度だけ鳴り、すぐに切れてしまうことから、そう呼ばれる。業者が無作為に選択した番号にかかってくるため、無用に電話が鳴るうえ、画面にわざと表示される着信番号にかけ直すと、わいせつ番組などに自動的につながるシステムが一般的だ。

 かけ直した人の多くは、つながった瞬間に有料のダイヤルQ2番組を聞いたと思い込み、後で業者から請求のあった場合、「あのときにかけ直した番組の料金では……」と支払うケースが少なくない。しかし、NTTが通話料に上乗せして料金を請求するQ2とは異なり、ワン切りの場合は業者側がかかってきた電話番号だけを基に個別に請求しているケースが大半。業者は巧みに住所、氏名を聞き出し、有料番組の料金や、手数料・延滞料名目の請求を行い、中には1回に数万円と法外な料金を徴収することも珍しくないという。

 「ワン切り」は昨年秋ごろから急速に目立ち始めたため社会問題になっているが、無作為に電話をかけて「ワン切り」する行為だけを取り締まる法律は今のところない。このため、警視庁保安課は、かつてのQ2番組で使われたわいせつな音声を流していることを犯罪事実として、先月17日、全国で初めてワン切り業者をわいせつ物陳列容疑で摘発した。すでに3人が起訴されている。

 この摘発の事実が報道されて以降、警視庁や国民生活センターには、「料金を請求されたが、どうすればいいか」「請求された料金を払わなくてもいいのか」といった内容の相談電話がかかってくるようになった。警視庁保安課だけでその総数は100件に達し、1か月が経過した現在もまだ続いている。中には、「自分がかけた業者も摘発してほしい」という少々“虫のいい”訴えもあるという。

 多くの業者は、わいせつ番組を流す前の数分間、料金システムなどを利用者に説明する「お知らせ」を無料で流している。このため、有料を認識していたとの見方もできるため、大半の利用者は支払わないことに後ろめたさを感じていることも、業者がつけ込みやすい一因だ。しかし、同課では、「青少年も持つ携帯電話にわいせつ番組をたれ流している現状は、公序良俗に反する。仮に番組を聞いたとしても、督促は無視すればいい。料金徴収が不可能になれば、業者は成り立たない」と、毅然(きぜん)とした対応を勧めている。

 また、国民生活センターも、「請求があることと、支払い義務があることは別。『裁判所に訴える』などといって暗に強要する例もあるが、そのときは『どうぞ訴えなさい』と電話を切った方がよい。裁判所に出て困るのは業者の方」と指摘している。

 ◆わいせつ番組、公序良俗に違反◆

 消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士の話「最終的に支払い義務があるかどうかは裁判所が決めることではあるが、わいせつな番組、法外な料金請求は、民法90条にある公序良俗違反にあたる。料金請求者と番組提供者が同一であるかどうか請求時点で利用者にわからない以上、裁判所でそれを証明するのは請求者側にあるが、実際に訴えられた例は聞いたことがない」

(5月19日03:02)

http://www.yomiuri.co.jp/04/20020519it01.htm

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