悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録

2002年05月17日(金) 03時01分

サービス残業:ペーパーレスで勤務管理 改ざん分からぬはずが毎日新聞


 「残業ゼロ規制」を守るため、コンピューターの退社記録を改ざんする——。複数のシャープ社員が証言するサービス残業隠しの手法は、何の痕跡も残さずにデータ書き換えが可能なコンピューターの特質を利用したものだった。しかし、同じコンピューターに残された電子メールの送信記録は、「既に帰宅したはず」の時刻に社員が会社に残っていたことを示し、退社記録の“ウソ”が明らかになった。

 シャープは「勤怠システム」と呼ばれるコンピューターシステムで、社員の労働時間を管理している。出社した社員はパソコンの画面上で「出勤」のボタン、退社する際には「退勤」のボタンを押す。そのつど、手続き時刻がコンピューターに記録され、自動的に毎月の残業時間が算出される。本来、改ざんの余地はないはずだ。

 「カラクリがあるんですよ」。現役のシャープ社員によると、画面上の「手続き時刻」はキーボードを使って変更できる。「本当は午後9時に帰宅しても、画面では午後5時の定時にしている」という。

 労基署の調査では当初、社員はサービス残業を認めず、文書などの証拠も見つからなかった。調査が暗礁に乗り上げそうになった時、調査官が社員のパソコンを調べると、帰宅したことになっている時刻に社内から電子メールを発信した記録が残っており、サービス残業の“動かぬ証拠”になった。

 背景には、「残業ゼロ規制」がある。シャープは98年8月、専務名で「時間外労働ゼロの業務遂行について」と題した社内通達を行い、(1)今後時間外労働は絶対認めないとの指示を明確に宣言する(2)定時以降に居残りがあれば退社を促す——ことを管理職に命じた。残業を申告しにくい空気が職場に広がった。

 別の社員は「残業時間の見直しは上司から通達され、部署によってはゼロにしろということもある。100時間残業しても、数時間分申告するのがやっと」と話す。是正勧告を受けて残業時間を再申告する際にも、「ゼロ」を求める管理職がいたという。

 また、勤怠システムは残業記録を後日に変更することが出来る。「間違って入力した場合のため」(シャープ広報室)というが、「自己申告の締め切り間際に、過少申請する手段になっている」と社員は証言する。

 シャープ広報室は「一部に不心得な管理職はいたかもしれないが、会社ぐるみではない」と話す。その一方で、「管理職の調査はしていない。コンピューターの操作方法も変更しない」としている。 【サービス残業取材班】

 サービス残業に関するご意見、情報をお寄せください。電子メールはo.keizai@mbx.mainichi.co.jp、FAXは06・6345・0618です。

[毎日新聞5月17日] ( 2002-05-17-03:01 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020517k0000m040200000c.html

この記事に対するコメント/追加情報を見る

ニュース記事一覧に戻る

トップページ