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2002年04月09日(火) 00時00分

合法システムにも制約ファイル交換と著作権毎日新聞

 東京地裁は9日、インターネット上のファイル交換サービス「ファイルローグ」を運営する日本エム・エム・オー(日本MMO、東京都八王子市)に対して、音楽CDから作成した音楽ファイル(MP3ファイル)の情報を利用者に提供してはならないとする仮処分を決定した。著作権を保護するために、違法なファイル交換を止めさせる強制措置として米国などにならった司法判断だが、一方で、合法的なファイル交換の場も制約を受けてしまう課題も浮かび上がった。

 日本レコード協会によると、ファイルローグの場合、常時7万件のMP3ファイルが公開され、うち少なくとも96%がCDから録音された違法なものだという。このため東京地裁は、レコード会社が著作権を持つ楽曲については「曲名と演奏者」を示す情報を利用者に送信してはならない、とした。つまり、ファイルの中身ではなく、いわば「ラベル」をチェックして事前に差し止めるよう、サービスの管理者(日本MMO)に求めたことになる。

 日本MMOは、ファイル提供者がどのようなファイル情報を公開するかを事前にすべてチェックするのは技術的に困難として、「ファイルローグ」のサービス全体を16日から停止する方針だ。同社の松田道人社長は「音楽ファイルの流通は、我々のサービス全体の15%にすぎない。しかし、著作権は音楽だけでなく、画像や文書すべてに存在し、いずれの場合も著作権の事前チェックが必要だとされれば、ファイル交換サービス自体が提供できなくなる」という。

 同社は、著作権を侵害するファイルが「ファイルローグ」上に提供されている場合、指摘を受ければ対策を取る「ノーティス・アンド・テイクダウン」の仕組みを採用してサービスの合法性を訴えていたが、今回の決定は同社のこのような対策では不十分であるばかりか、違法ファイルを提供している利用者と並んで著作権侵害の主体であるという厳しいものだった。

 ネット上のファイル交換のシステムは、米国で同様の仕組みのナプスターが敗訴してサービスを停止。一方、オランダでは先月、地裁レベルで敗訴したカザーが、高裁で「いかなる侵害行為もユーザーによって行われたもので、同社によってではない」との裁定を受けて逆転勝訴している。日本MMOも抗告する方針を明らかにしており、IT時代の著作権をめぐる問題はさらに議論が続きそうだ。

(藤枝 克治)

http://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/archive/200204/09-4.html

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