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2002年03月31日(日) 10時21分

<弁護士詐欺>依頼人150人から詐取か 被害5億超す 奈良毎日新聞

 奈良弁護士会所属の弁護士、河辺幸雄容疑者(52)=奈良市東登美ケ丘1=が依頼者から現金を詐取したとして奈良地検に逮捕された事件があり、河辺弁護士が150人以上の依頼人から訴訟費用などと偽って現金を受け取っていたことが30日、奈良弁護士会(会長・多田実弁護士)の独自調査で分かった。被害総額は5億円を超えるとみられ、弁護士がかかわる詐取事件として、被害者数、被害金額で過去最大規模に発展する可能性が出てきた。奈良地検も裏付けが取れ次第、詐欺容疑などで立件する方針だ。

 河辺弁護士は98年7月ごろ、貸金返還請求訴訟の原告側代理人をしていた際、原告女性(66)に「勝訴後、早く確実に貸金を回収するには供託金が必要」などと偽り、現金300万円をだまし取ったとして今月21日、詐欺容疑で逮捕された。

 逮捕後、同弁護士会には同様にだまされたとする依頼者からの電話が奈良を中心に、大阪、京都、兵庫の4府県から計200件以上寄せられている。主に500万〜300万円を請求され、中には1000万円以上も要求された依頼人もいたが、いずれも河辺弁護士を信用して預けたという。

 河辺弁護士は調べに対し「事務所の経費にすべて使った」と供述しているという。

 同弁護士会などによると、河辺弁護士は98年ごろから事務所の資金繰りに苦しみ、依頼者をだまし始めたらしい。訴訟が終わり、返還を求めても「手続きに時間がかかっている。いずれ戻す」とごまかすなどして発覚を遅らせてきたらしい。

 河辺弁護士は76年に弁護士登録し、80年3月から1年間、奈良弁護士会副会長も務めていた。

 しかし、昨年7月以降、逮捕容疑とは別に依頼者との金銭トラブルで5件の懲戒請求が同会にあり、うち3件について同会は「懲戒相当」として、懲戒委員会で審議している。また96年には、弁護を引き受けながら訴訟を起こさなかったにもかかわらず、依頼者には訴訟を起こしたとうそをついていたとして、日本弁護士連合会から「戒告」処分を受けている。

 奈良弁護士会は特別対策委員会を設置して対応を協議。30日は被害者説明会を開き、約90人が相談に訪れた。31日も開く。 【行方一男】

        ◇           ◇

 「いつ仕事をしているのかと思うくらい、訴訟準備をしていないケースが目立った」が、「金回りのよさは群を抜いていた」。訴訟費用名目で150人の依頼人から約5億円をだまし取ったとされる奈良弁護士会所属の河辺幸雄容疑者(52)。関係者の証言からは「社会正義の実現」(弁護士法1条)を使命とする弁護士像とは、あまりにかけ離れた姿が浮かび上がる。一方、被害者からは、被害拡大を防げなかった同弁護士会の対応の遅さを批判する声が上がっている。

 ◆評価とは「別の顔」

 関係者によると、河辺弁護士は、結婚の際に媒酌人を務めた弁護士と数年間、共同で奈良市内で法律事務所を運営していたが、この弁護士が亡くなってからは一人で活動していたという。事務所には複数の女性事務員がいたが、いずれも賃金の未払いが原因で辞めているという。

 「人柄は良く、丁寧で腰も低い人だった」。そんな評価の一方で、県内の高級ゴルフクラブの会員権などもかなり持っており、大阪の北新地などでも羽振り良く遊んでいたという「別の顔」も。弁護士活動については、「以前から事件を放置している」「弁護の中身がいいかげん」などの声が多く、評判は芳しくなかった。

 ◆被害者の訴え

 奈良市の弁護士会館で30日、開かれた被害者説明会。奈良市の女性(77)は、94年ごろ土地購入の話を持ちかけられ、「約1000万円を早急に入金してほしい」と頼まれて現金を預けた。しかし、土地は実際には存在せず、女性は「金は戻らないと覚悟している。文句だけでも言わせてもらわないと気が治まらない」と話した。

 また、ある男性は「逮捕前に一気に荒稼ぎしたのだろうか。たった一人で、よくもこれだけの人をだませたものだ」と憤った。

 これに対し、奈良弁護士会の多田実会長は「被害者説明会では、弁護士会の責任も問われたが、法的責任はない。しかし、道義的責任は感じており、今後も被害者の話を十分に聴き、適切な対応を取りたい」と話している。

◆後絶たぬ不祥事

 依頼人の資産を詐取するなどして逮捕されたり、弁護士会の懲戒処分を受ける不祥事は、バブル崩壊後に目立っている。96年1月には元大阪弁護士会副会長が依頼人から預かった小切手を横領した疑いで逮捕された。同年10月には第2東京弁護士会の弁護士が24億円の横領容疑で逮捕されるなど、96年だけで全国で10人の弁護士が逮捕・起訴された。弁護士に対する懲戒請求も90年の239件が、00年には1030件に上った。

 信頼回復のため、日本弁護士連合会は97年、全会員に倫理研修を義務付けることを決定。大阪弁護士会では99年春から、新たに入会する弁護士に不祥事を起こさない誓約書を提出させている。しかし、全国の弁護士会が不祥事で懲戒処分をした件数は、昨年68件で、過去最高に達した。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020331-00000113-mai-soci

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