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2002年03月26日(火) 00時00分

所得隠し「交通安全協会」なんていらないたんなる「警察官の天下り機関」ZAKZAK

 「誰も読まないベストセラー」と揶揄される交通安全テキストを発行している警察庁所管の財団法人「全日本交通安全協会」(全安協=東京都千代田区)=写真=が、東京国税局の税務調査を受け、約4億7000万円の所得を隠していたことが発覚した。ただでさえ、「警察官の天下り機関」と批判されている全安協が脱税で作った裏金を「警察官との飲食に使っていた」というのだから、開いた口が塞がらない。改めて、その“不要論”がクローズアップされているのだ。

 「そもそも安全協会なんていらないんです。交通安全、事故防止という名目で生じる金の多くが、安協に流れ込む仕組みになっている。こんなおいしい“商売”はないと思います」と皮肉るのは、交通ジャーナリストの今井亮一氏。

 全安協は、運転免許取得時などに使われるテキストの監修料を専門家に支払ったように見せかけ、架空経費を計上し、平成12年までの7年間で約4億7000万円を隠していた。

 裏金の使途には「協会の活動に関係している警察官との懇親会費用などに充てていた」と説明。東京国税局から重加算税も含め約1億円を追徴課税されたほか、警察との癒着構造が改めて浮かび上がったのだ。

 昭和36年、「交通安全の広報啓蒙事業を行うため」との名目で、財団法人の認可を受けた全安協は、免許更新時などに渡される「交通の教則」などのテキストを独占発行。各都道府県にも免許更新の事務などを委託された地元の交通安全協会があり、その大半が全安協のテキストを購入し、配布している。

 免許更新は毎年数百万件あり、誰も読まないながら、「いらない」と断れないテキストは「毎年必ず売れる超ベストセラーなんです」(今井氏)。

 そして、今井氏が「おいしい商売」と糾弾する大きな要因として、交通安全より自分たちの天下り先となる安全協会の“繁栄”を優先しているとしか思えない警察庁幹部の大胆発言があるからだ。

 平成3年、「全国警察本部交通規制担当者等会議」で、警察庁交通局の幹部が警察関係者らに「(安全協会は)皆さんもいずれOBになって関係する」「基本は安協が儲けること。安協あっての日本の交通警察」などと発言していた内部資料が一昨年に暴露されているのだ。

 このため、今井氏らは、免許更新制度のない英国などが日本に比べ交通事故が多いわけでもなく、「更新制度は交通安全に寄与していない」と指摘。一昨年、国と都、全国および東京の安協が更新手数料で国民の財産を不当に奪っているとして損害賠償請求訴訟(係争中)を起こした。

 また、地方の安協では警察署内や隣接する場に窓口があることが多く、免許更新時に手数料とは別に任意のはずの協会への入会費を半ば強制的に徴収される問題点が指摘されている。

 警視庁OBで、警察ジャーナリストの黒田昭雄氏は「詐欺まがいの徴収方法で会費を取られている人もいて、あってはならないこと。今回、警察と協会の癒着構造や裏金が見えたのだから、改めて安協の必要性を検証し、どうすべきなのか議論しないといけない」と指摘する。

 平成10年にも、千葉県交通安全協会連合会が約1億円の申告漏れを指摘され、警察庁が全国の交通安全協会の税務処理を再点検したところ、26府県で申告漏れなど問題があったことが判明。つまり、“あぶく銭”を不当に扱う体質は、なかなか改善されないのが現実なのだ。

 こうした実態に、評論家の佐高信氏は「たかりの構造は、たかられる方より、たかる方に問題がある。外務省もそうだが、役人のたかり体質は深刻な問題。警察は悪い奴を捕まえて監獄に入れるのが仕事だが、みんな1回、監獄に入れ、そのまま出さない方がいい」と話している。

ZAKZAK 2002/03/26

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_03/3t2002032605.html

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