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2002年03月26日(火) 17時51分

誤解される「ハッカー・キャンプ」WIRED

 コロラド州で開催が計画されている若いコンピューターおたくたちの集会は、当初の名称『ハッカー・サマーキャンプ』を変更することになりそうだ。「ハッカー」という言葉の定義が混乱しており、誤解が生じているためだ。

 セキュリティー企業の http://www.whitehattech.com/ 米ホワイト・ハット・テクノロジーズ社(コロラド州デンバー)は、コンピューターに精通した10代の若者にネットワークのセキュリティー手法とハッキングの倫理を教える計画を立て、この集会には「ハッカー・サマーキャンプ」という名前がふさわしいと考えていた。

 だが、同社のトゥブテン・コマフォード最高経営責任者(CEO)は現在、キャンプの名前から「ハッカー」をはずそうと考えている。『デンバー・ポスト』紙が『 http://www.denverpost.com/Stories/0,1002,33%257E466315,00.html テック・タウン』というコラムで、コマフォードCEOの言葉として「(キャンプは)結果的に子どもたちに不法行為を教えかねない……と認識している」と報じたことがきっかけとなった。

 コマフォードCEOは、テック・タウンの引用は間違いだと主張しているが、誤解を招く恐れがあるため、「ハッカー」という語はもう使えないと考えている。

 大半のハッカーによる定義では、ハッキングとは、コンピューターに取りつかれた知的好奇心旺盛な者が実行する名誉ある活動のこと。ハッキングがなければ、パソコンやインターネットは存在しなかっただろう、とハッカーたちは言う。だが、マスコミは往々にして、ハッキングと聞けばコンピューター・システムへの不法侵入を連想してしまう。

 コマフォードCEOは20日(米国時間)、自社サイトに公開書簡を掲載し、このコラムについての問題を詳しく説明した。だが、デンバー・ポスト紙とコマフォードCEOの言い分は食い違っていた。

 デンバー・ポスト紙のビジネス欄副主任ロウィーナ・サンドバル氏は、「当紙は記者の取材メモを再検討した結果、『ハッカー・サマーキャンプ』についてのコラム中、ホワイト・ハット・テクノロジーズ社のコマフォードCEOの発言引用に誤りはないという結論に達した」と電子メールに書いている。

 コマフォードCEOの反論は、21日の朝にはホワイト・ハット社のサイトのフロントページから消えた。同CEOは、不本意ながらこのキャンプに関してはハッカーという語を使わないことにしたと述べた。

 「残念ながら、この語はありとあらゆる不安を呼び起こしてしまう。長年にわたってマスコミが浸透させてきた不安だ。『ハッカー』という語を知識のない人々の手から救うことは、わが社や私自身の仕事ではない。これから先ずっと、この語の使用を控えることになるだろう。理由は単に、誤解を受ける危険を避けるためだ」

 現在名称未定のこのキャンプはまだ計画段階だが、2003年夏の開催を目指している。コマフォードCEOの話では、同社は現在、地方大学のキャンパスを含むコロラド州内のいくつかの会場候補地から、キャンプの本部を置く場所を探している最中だという。

 また、第1回キャンプには最大50人の参加者を見込んでいるという。参加費は未定だが、コマフォードCEOはスポンサー企業を見つけたいと考えている。

 参加者の中心は13〜17歳と想定され、ネットワーク・セキュリティーの基礎を、実地のプロジェクトとコンテストも活用して学ぶことになる。だがコマフォードCEOは、倫理がカリキュラムの基本になるだろうと話す。

 しかし、マンハッタンの公立・私立学校に通う技術おたくの子どもを持つ親の中には、このキャンプに懸念を示す者もいる。

 「子どもたち自身では考えつかないようなことを教えるだけではないのか?」と話すのは、アンジェラ・ラガーダさん。「うちの子にコンピューターに侵入する方法を教えてもらう必要などない」

 ラガーダさんの息子デビッドくん(14歳)は、優秀な児童向けのコンピューターの速習クラスを受講していて、このキャンプに参加したいと話している。

 「正式なネットワークを探索できるなんて最高だ」とデビッドくん。「ハッキングする目的で、友だちと自前の小さなネットワークを作ったけど、もう簡単すぎてつまらない」

 コンピューターに病みつきの息子2人を持つエドウィナ・リベラさんは、キャンプの賛成派だ。

 「コンピューターに関しては私より子どもたちの方が詳しく、私が怖くなるようなことをネット上でやってみせる」とリベラさんは言う。「子どもたちは怖がらなくていいと言うのだが、私にはわからない。私より知識がある人に正しいことを教えてもらう必要がある」

 参加希望者は、ホワイト・ハット社が設置するいわゆる「ハニーポット」(蜜の壷)ネットワーク上でいくつかの試練を突破し、腕前を示して参加を認めてもらわなければならない。ハニーポットというのはふつう、セキュリティー専門家がハッカー行為を隠れて観察できるよう特別に作るもの。

 「これは集団オーディションではない」とコマフォードCEOは説明する。「すでに技術のある子どもだけがこのキャンプに参加できる。面接審査は厳しくなるはずだ。犯罪行為への関心を示す子どもは、審査の早い段階ではじかれるだろう」

[日本語版:近藤尚子/高森郁哉]


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