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2002年02月13日(水) 00時00分

親切をエサ商品 次々売り付け 東京新聞

 独り暮らしの高齢者に親切そうに近づき、次々に高額な商品を売り付ける「次々販売」なるトラブルが相次いでいる。親しげな訪問販売員に心を許し、数百万、数千万円の買い物をしてしまっているケースも出ている。

 「あんた、初めて会うな」。金融商品のオプション取引に数回で合わせて七千万円を、素人の八十歳女性が投資させられたトラブル。驚いた家族や国民生活センター(東京・高輪)の職員の立ち会いで、商品を売りつけた販売員と面談させたものの、女性は首をかしげた。記憶力が衰えており七千万円も預けた販売員を覚えていなかったのだ。

 「次々販売」のセールスマンは、貯金や資産がある独り暮らしの高齢者、しかも物忘れが激しい人をターゲットにする。このため、家族がトラブルに気付いても本人に認識がないため、こんな事態になっても犯罪とはならないケースが多い。

 この販売員の手口はこうだ。最初、女性宅を訪れ、「今、投資するともうかるよ」と投資話を紹介する。一度は引き揚げ、数時間後にまた「帰る足がなくなった」などと言って話し込み、家に上がり込んだという。

 販売員は、たびたび女性宅を訪れて、親しくなる。女性が心を許すようになると、説得して一緒に銀行まで行き預金を解約。投資の代金を支払わせた。親族が気が付いて国民生活センターに相談したが、女性は販売時の状況や契約内容についても覚えていなかった。

 別のアルツハイマー病の七十代の女性のケースでは、着物などの訪問販売員が女性の肩をもんであげたりして信用させた。販売員は「展示会があるので、車で迎えに行く」と電話で誘ったり、昼食会に招くなどして親しくなり、いいように着物を買わせていた。

 女性の通帳の残高がほとんどないことに家族が気付いたのは二年後で、この間の代金は約九百万円に上っていた。耳が遠くて、よく分からないまま、必要のない床や屋根のリフォーム工事をたびたび受けていた六十代の男性もいる。物覚えが悪いのをいいことに同じ浄水器を三つも売り付けられた高齢者もいた。

 どうして、こうした人が狙われたのか。国民生活センター相談部の河岡優子さんは「高齢者の数が増えていることに加えて、家族や情報から置き去りにされているからでしょう。人を信用しやすいという点にも、業者はつけ入るのです」。

 「次々販売」の相談件数は、二〇〇〇年度は二千三百六十九件で二年前に比べて倍増している。一九九四年度はわずか二百六十八件で、六年で八倍に膨らんでいることになる。一部は、業者が返金などに応じるケースもあるが、高齢者が契約時の状況などを覚えていないことも多く「普通の商取引」と押し切られてしまうことも多い。

 不思議なことに、“被害者”は複数の業者から“被害”にあっている。ふとんと浄水器など、異なる業者が次々訪れている場合もあり、「今のところ発覚していません」(同センター)というが、複数の悪質な販売員が口コミや名簿をつくって「顧客情報」を回しているという可能性もある。

 次々販売トラブルに対して、河岡さんは「周囲が早く気付いてあげることで被害は最小限に食い止められます。クレジットの支払いが終わった後では交渉の余地がない」とアドバイスしたうえで、被害の背景として「高齢者がいかに独りぼっちにされているかということです。家族ならば暮らしぶりの変化に常に気を配ってあげてください」と願っていた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20020213/mng_____tokuho__000.shtml

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