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2002年02月03日(日) 00時00分

巧妙化凶悪化 まん延コンピューターウイルス 常時接続に落とし穴 東京新聞

 コンピューターの機能やデータを壊すコンピューターウイルスがはんらんし、感染するパソコンが急増している。「ニムダ」「バッドトランスB」など強力な新種ウイルスが立て続けに現れた昨年は、被害届が前年の二倍以上の二万四千件まで拡大した。インターネット常時接続の広がりで安全対策の必要性が高まり、ウイルスに対抗するためのワクチンソフトの販売も急伸している。(経済部・丸山秀人)

■ 過去最悪

 ウイルスの届け出を受け付ける「情報処理振興事業協会」(IPA)によると、昨年の届け出件数は、前年の一万千百九件から二万四千二百六十一件へと倍増した。特に十二月は三千九百件にのぼり、月単位で過去最悪。あくまで届け出なので、実際の感染数からみれば氷山の一角にすぎない。

 コンピューターの中に潜むウイルスを見つけ出し、取り除く働きをするワクチンソフトの大手、シマンテックは「従来なら一年に一回出る程度の強烈なウイルスがボコボコ出てきた年だった」と振り返る。九月の「ニムダ」が官公庁や企業、大学、マスコミに広がり、ニュースとなったのは記憶に新しい。十一月の「バッドトランスB」も最初の発見から一気に猛威を振るった。

 シマンテックの主力商品は十二月の売り上げが前年同期の二十倍。ライバル企業、トレンドマイクロのワクチンソフトも十一月に同三倍の勢いを見せ、十二月には品切れとなった。店頭での実売価格は七千円から九千円程度だ。

■ メール

トレンドマイクロは最近のウイルスの特徴を、「メールを介して広がるものが相変わらず主流だが、感染経路が複数でさまざまな活動をする。巧妙・複雑・悪質化が著しい」と説明する。

 「凶悪さは前代未聞」とされる「ニムダ」がその典型で、メールをプレビューする(カーソルを合わせる)だけでも感染するほか、感染したホームページを見ただけでうつってしまい、これまでの常識を覆す感染力に衝撃が広がった。

 感染メールを勝手に知人に送りつけるだけでなく、パソコンのデータを消したり、漏えいする恐れがあり、パソコンが起動しなくなる症状もみられた。以来、同様の悪性ウイルスが続いて現れ、「バッドトランスB」はニムダ以上に大量の感染メールを送信してしまう。

 トレンドマイクロのウイルス解析担当、岡本勝之さんは「今年のウイルス被害は、間違いなく昨年より増えるだろう。パソコンが普及すればするほど無防備な初心者も増える。インターネットの常時接続が増えれば、最新ウイルスの拡大も速くなる。ワクチンソフトを装備していても、対応が間に合わなくなることもある」と危ぐする。

■ 防火壁

 高速インターネットの環境が定額・低価格で得られるようになり、常時接続が急増している。総務省によると、高速のデジタル加入者線(DSL)サービスの加入者は一昨年末は一万人程度だったが、昨年の一年間で百五十万人を軽く突破した。

 トレンドマイクロの岡本さんは「常時接続でパソコンを常に外に開いていれば、外からも中が見えやすい。悪意ある人間に不正侵入され、データを盗まれるなどの危険も高まる」と警告する。このため、「防火壁」を意味するファイアーウオールソフトの必要性も高まってきた。コンピューターとネットワークの出入り口を見張り、侵入者から守るソフトだ。

 IPAの小門寿明ウイルス対策室長は「ファイアーウオールをつけたら、だれかが不正侵入しようとした痕跡を見つけたとの相談があった。不正侵入されていることに気付かない例は多いはずで、個人のパソコンも企業と同じ警戒が必要な時代になった」と話す。

 不正侵入を導くような“裏口”をパソコンにつくってしまう悪質ウイルスも登場しており、いたちごっこと知恵比べの様相をみせている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20020203/mng_____kei_____001.shtml

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