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2002年01月29日(火) 13時40分

<名誉棄損訴訟>通信社の記事 新聞社にも責任 最高裁が初判断毎日新聞

 ロス銃撃事件の三浦和義被告(54)が名誉を傷つけられたと主張して共同通信社や地方紙、スポーツ紙などを相手取った19件の損害賠償請求訴訟で、最高裁第3小法廷は29日、掲載した新聞社にも責任があるとの初判断を示した。判決は「通信社の記事に名誉を傷つける内容があった場合、通信社の記事だから確実だと受け止め、事実と信じたことに相当の理由があるとは認められない」と述べた。

 判決は、19件中9件を三浦被告の勝訴、1件を敗訴、8件を東京高裁に差し戻し、1件の訴えを却下した。

 被告側はブロック紙、地方紙、スポーツ紙など計約40社。85年9月以降、共同通信が三浦被告の経歴や薬物疑惑などを報じた配信記事を、各新聞社側は「ウソと打算で固めた半生」「暴かれる完全犯罪」などの見出しで紙面化した。

 新聞社側は「記事の正確性は通信社に責任があり、加盟社は独自の裏付け取材が難しい」と主張した。共同通信も「多くの配信記事を使っている地方新聞などが自由に利用できなくなると、新聞の質が低下して国民の知る権利が失われる」と訴えていた。

 判決は「新聞社側は配信記事を裏付け取材することなく、そのまま紙面に掲載した」と指摘し、「本件記事のように、私人の犯罪やスキャンダルの報道は、通信社の配信記事でも真実性について高い信頼性が確立しているということはできない」と判断した。

 配信記事を掲載した新聞社にも責任が及ぶかどうかについて、2審段階では「責任あり」「なし」と判断が分かれていた。

 三浦被告は29日、東京都内で記者会見し、「ほぼ全面勝訴の判決で評価している。地方紙は共同通信社の配信を受けて破格のメリットを受けているのだから、報道被害が出れば当然責任も負うべきだ。犯罪やスキャンダルに関する報道は、慎重な裏付け取材をしてほしいと改めて申し上げたい」と話した。

 鈴木雄雅・上智大教授(ジャーナリズム論)の話 意外な判決だ。配信された記事の裏付け取材をするのは現実的に難しく、取材結果が真実に近くなるかどうかは分からない。判決は、私人の犯罪行為やスキャンダルについての記事を出発点にしており、マスメディアの行為というよりは個人の名誉をどう守るかに主眼が置かれた判断だと思う。国会議員のような公職者に対する報道にも当てはめてよいかは疑問もある。

 野村好弘・東京都立大教授(民法)の話 妥当な判決と考える。「通信社は実績もスタッフも豊富だから、記事を信頼した新聞社に過失がない」という主張は、メディア内部では通るが、新聞社と報道被害者との間では通用しない。被害者救済の見地から言えば、名誉棄損は通信社と新聞社との共同不法行為としてとらえるべきで、報道の自由の制約とは別次元の問題だ。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020129-00001046-mai-soci

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