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2000年10月13日(金) 00時00分

西武・松坂投手、書類送検へ 免停中に駐車違反読売新聞

黒岩広報が身代わり出頭

 プロ野球・西武ライオンズの松坂大輔投手(20)が先月13日、東京都文京区内の路上で駐車違反の乗用車をレッカー移動され、球団広報課の黒岩彰課長(39)が大塚署に身代わり出頭、自分名で反則切符を切られていたことが、13日わかった。松坂投手はこれより先に違反を重ね、免許停止中だった。警視庁交通捜査課と大塚署は同日午後、松坂投手を道交法違反(駐車違反、無免許運転)容疑、黒岩課長を刑法の犯人隠避容疑でそれぞれ書類送検する。

松坂投手「後で知った」 黒岩広報「自分の判断」

 調べによると、松坂投手は先月13日午前9時55分ごろから約1時間半にわたり、交際している女性の自宅マンションを訪問するため、文京区音羽の駐車禁止場所に乗用車を停車させた疑い。松坂投手は違反が積み重なり、8月30日から2か月間の免許停止処分を受けていた。

 一方、黒岩課長は同日午後4時ごろ、松坂投手の身代わりになって同署に出頭、「自分が駐車した」などと申し出て、松坂投手の違反を隠した疑い。黒岩課長は松坂投手から車がレッカー移動されたと連絡を受け、同署に出向いたという。

 調べに対し、松坂投手は「駐車違反をしたことは申し訳ない。黒岩課長の身代わり出頭は後で知った」などと話した。また、黒岩課長は「レッカー移動された乗用車は球団のもので、自分が管理しており、出頭は自分の判断だった」などとしている。

 松坂投手が駐車違反をした日はちょうど20歳の誕生日で、シドニー五輪への出発を翌日に控え、午後には都内のホテルで記者会見に臨んでいた。

 松坂投手は、女性の自宅マンションを訪れていたことが発覚し、球団の小野賢二社長から「自己管理が甘い」と厳重注意されていた。松坂投手は反省の意味を込め、球団の処分とは別に、今オフに社会奉仕活動を行うことを表明していた。

 小野社長は「すべての処置は警察にお任せしてあります。球団としては、この問題について厳重注意し、二度と起こさないように申し渡しています。お騒がせして大変申し訳ありません」とコメントしている。

 違法駐車だけなら反則切符で済むが、無免許運転の場合、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金。犯人隠避の罪は、2年以下の懲役または20万円以下の罰金が科される。

 松坂投手は、横浜高校3年の時に甲子園の春夏を連覇し、国体でも優勝した。98年にドラフト1位で西武に入団。昨年は16勝5敗の好成績で、高校出新人としては45年ぶりの最多勝のタイトルを手にしたのをはじめ、新人王、ベストナイン、ゴールデングラブ賞などを獲得、西武のエースとなった。また、西武ドームで先発した14試合で観客数5万人を2度記録する人気ぶり。今季は27試合に出場、14勝を挙げている。シドニー五輪でも活躍した。

 黒岩課長は1988年のカルガリー五輪スピードスケートの銅メダリスト。大学チームの監督を経て98年、アイスホッケーなどのチームを抱える「コクド」の広報課長補佐として、西武グループに迎えられた。99年5月、松坂投手の「専属広報」として球団入り。取材対応やCM出演などの交渉を担っていた。

 土本武司・帝京大法学部教授(刑法)の話「犯人隠避は、場合によっては公判請求もありうる悪質な犯罪だ。やくざの世界ならよくある破廉恥罪であり、スポーツ選手に関しては私の知る限り初めてだ。反省の弁があれば、2人とも罰金刑だろうとは思うが、なぜそんなことをしたのか」

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/matsuzaka/chronology/ma_ch20001013_01.htm