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1999年12月09日(木) 00時00分

番外編(下)体と心の性不一致、半陰陽…読売新聞

◆多様性尊重し合う社会に

 身体的な性(セックス)と社会的、心理的な性の自己認識(ジェンダー)が一致せず、その違和感に悩んでいた人たちが、医学的な治療によって性を選び直して、新しい人生をスタートさせているという記事には、多数の問い合わせがあった。

 ほとんどは、「16歳のおいっこが好きになるのは、小学生時代から男の子ばかり。将来結婚できるのか心配」「感受性の強い年ごろで、子供が苦しんでいる様子が痛いほど分かる。悩みを相談できるところを教えて」という家族やその周辺からのものだった。

 高校3年の娘をもつ東京都内の会社員の父親は、「小さい時からのびのびと、男の子みたいに育てたせいでしょうか。化粧や女っぽい服装を極端に嫌い、彼氏自慢をする女の子同士の話題についていくのがとても苦痛らしい。女であれ男であれ、1人の自立した大人として自由に生きていってほしいと願うが、親は何か手助けできるだろうか」と、電話で打ち明けた。

 相談機関の問い合わせには、全国的な自助支援グループの一つ、「TSとTGを支える人々の会」(事務局・東京都世田谷区赤堤二郵便局留、電話090・3506・4843)を紹介した。埼玉医大の倫理委員会が性転換手術を容認する答申を発表した96年に発足した団体で、参加者は当事者やその家族、医師、カウンセラーなど約1300人。学習会や体験交流会を活発に開いている。

 「身体的な特徴が男性と女性にはっきり分かれていない、半陰陽(インターセックス)のことも知って」と、若い女性らしき声で電話があった。

 同会にも半陰陽の参加者は10数人いる。小さなペニスの下に膣(ちつ)があるなど様々なケースがある。生物学をめぐる最近の研究により、男女いずれかの性器官に分化、発達する段階で、ホルモン分泌のわずかな変動が生物学的性の決定に揺らぎを起こしている事実は解明されつつあるものの、「そうした人たちの悩みはあまり知られていないのでは」と同会はいう。

 「こうした多様な性のあり方が、21世紀の社会に示唆するものは大きい」と、大阪経済大の伊田広行助教授(社会政策)は指摘する。

 「恋愛は、両者にとって元気のもとになり、心の安らぎになる。ただし、今までの男性優位の社会では、男女の区分とそれに基づく性的欲望自体に、上下関係が働いていた。守ってやるとか、尽くしてあげるとか、自分の勝手な幻想を押しつけて、相手の自由を奪ってもきたわけで、制度疲労は深刻だ。男女を問わず、自立した者同士が互いの多様な価値観を尊重しつつ、友愛的でゆるやかなパートナーシップを築いていけば、性の上下関係も変わっていくのでは」

 私たちは、自分の頭の中にある男性像、女性像に当てはまらないものには「異常」というレッテルをはって排除しがちだが、異質なものへの共感こそ、豊かな未来をはぐくむ力になる可能性があることも忘れてはなるまい。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/sfuukei/fe_sf_19991209_01.htm