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1999年12月07日(火) 00時00分

番外編(上)「中高年の性」に読者から大きな反響読売新聞

◆もっとオープンに語ろう

 10月27日から19回にわたり連載した「世紀末 性の風景」には、読者からたくさんの手紙やファクス、電話が寄せられた。「性の問題をあおらないで」という拒否反応も一部にはあったが、年齢を問わず、「性について、もっとオープンに語りたいし、悩みを共有したいと思うようになった」など、前向きな意見が多かった。読者の声を中心に3回に分けてお伝えする。

 連載の前半で取り上げた中高年の性をめぐる問題には特に反響が大きかった。

◆勇気づけられた

 熟年世代の「再婚」にみる男女の思い、性のありようを描いた記事には、「勇気づけられた」「まだまだ人生終わりじゃないと思い直すことができた」と、共感の手紙をいただいた。

 この夏、がんで58歳の妻を亡くした米国サンフランシスコ在住の男性(65)は、「何時も心に残る空しさ、悲しさ、悔しさは、最愛の伴侶(はんりょ)を失った者にしかわからない。互いの心の寂しさを分かち合えるパートナーを見つけ、新しい人生への旅立ちにつなげることができるとしたら素晴らしい」と、つづってきた。

 記事で紹介した、熟年シングルの結婚相談を行っている民間団体「太陽の会」(本部・東京、電話03・5386・6221)にも、この1か月で問い合わせが200件を超えたという。

◆性の欲求は生への欲求

 「老いてからこそ、はれやかで絢爛(けんらん)たる性の世界が広がる」という心理学者の波多野完治さんの主張に呼応して、東京都内在住の男性(65)からは、「老いらくの性」と題した400字詰め原稿用紙30枚の力作が送られてきた。「愛なく、恋なく、性もなく、夢も生きがいもなければ、死にたくもなし。生きていても死んでいるような暮らしでは、なんで潤いのある老後といえようか。性の欲求は、そのまま生への欲求である」と書いている。

 神奈川県の施設で働く30歳代の女性は「おばあちゃんたちが暮らす女部屋に、若い男性の介護士さんが入って来るだけで、確かに華やいだ雰囲気になります。甘ったれた声を出すおばあちゃんをみっともないという目で見ていた自分の方が恥ずかしい」と、電話で感想をもらした。

◆老人をあおらないで

 一方で、英国ロンドン在住の68歳の女性は電話で、「70歳の夫は記事を手に握り、『ほら、老人も性欲があるんだ』と、私のベッドにもぐり込んでくる。余生は静かに読書など楽しみながら暮らそうと思っていたのに、老人の性を奨励するような記事に当惑しています」と話した。

 「このまま女を終わりたくない」と揺れる更年期の妻と、セックスに淡泊な夫との心のすれ違いを書いた記事にも、「あれは私のことではないか」と、同様の悩みを訴える声に対し、「これで亭主へのお勤めも終わりと思うと、せいせいした気分」という人もいた。

 共感と反発が交錯しつつも、今まで表立って語られることの少なかった中高年の性を見つめ直そうという真摯(しんし)な態度が、投書の文面や電話の語り口から強く感じられた。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/sfuukei/fe_sf_19991207_01.htm